2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400525
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅本 幸一郎 東京工業大学, 地球生命研究所, WPI研究員 (60726991)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 液体鉄合金 / 高圧高温条件 / 地球深部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地球外核条件下における鉄といくつかの軽元素との液体合金について、第一原理計算によって密度や音速等の物理的性質を解析することを目的としている。26年度では軽元素として硫黄と酸素を行う予定であった。このうち、硫黄に関しては研究を完了し、論文をGeophysical Research Letters(インパクトファクター4.456 in 2013)に掲載、および神戸とサンフランシスコで行われた国際学会において口頭発表を行った。ここで明らかにしたことは、硫黄のみが鉄と合金を形成したとしても、地震波測定によって知られている地球外核の密度と音速を同時には再現できないということである。具体的には、約14重量%の硫黄を鉄に溶かせば、地球外核密度は再現できるが、音速はかなり大きくなってしまうことを示した。これにより、仮に地球外核に硫黄が存在していたとしても、別の軽元素が同時に存在する必要があることがわかった。その後、酸素について研究を開始したが、軽元素として水素の重要性が再評価されるようになったので、急遽対象の優先順位を酸素から水素に変更した。水素についての計算はほぼ終了した。水素は他の軽元素と異なり、グルナイセンパラメータ(物理量の圧力依存性を記述するために重要な量)への影響が大きかった。また、硫黄に比べて、地球外核の密度と音速を、比較的良く同時に再現できることがわかった。これにより水素が一躍重要な軽元素候補に躍り出たことになる。この成果を現在論文にまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度には2種類の軽元素について研究することを目標としていた。硫黄と水素について計算が終了し成果をまとめることが出来た。27年度以降の研究計画にスムースに繋げることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行った硫黄、水素との鉄合金に加え、酸素、ケイ素、炭素についても二成分鉄合金の研究を行う。それらに基づき、多成分鉄合金について研究を進め、地震波測定の密度と音速を最も再現できる軽元素の組み合わせや、複数の軽元素が同時に存在する際の非理想性の研究を行う。
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Causes of Carryover |
1. 研究対象となる物質の優先順位を変更するための計画修正の期間に、計算資源の使用が若干抑えられたため。 2. 今年度は新規に端末を購入する必要がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1. 優先順位の変更が完了したので、今後は計算機資源に使用する。 2. 必要に応じて端末を購入する
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Research Products
(5 results)