2014 Fiscal Year Research-status Report
周期的に固体プラズマを配置したサブミリ波帯サーキュレータに関する研究
Project/Area Number |
26400528
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
淀川 信一 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90282160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 徹 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90195537)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サブミリ波 / 固体プラズマ / サーキュレータ / 非可逆素子 / 周期構造 / InSb / FDTD解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,サブミリ波帯で動作するサーキュレータを実現することを目的としている.サブミリ波帯の非可逆素子の材料として固体プラズマを利用することに特徴を持つが,一方でプラズマによるサブミリ波の減衰が大きいことや,良好な循環特性が得られないことなどが予想される.そこで,固体プラズマを周期的に配置することでその特性をさらに改善することを目指す. 平成26年度は,単体の固体プラズマ材料のパラメータ,特にキャリア密度と印加磁界がサブミリ波の伝搬方向へ与える影響について詳細に検討した.固体プラズマ材料としてn-InSbを利用し,その円板を方形導波管中央に設置した構造から放射するサブミリ波を3次元FDTD(Finite-Difference Time-Domain)法により解析した.その結果, n-InSbの電子密度が1立方メートルあたり21乗程度で, 印加磁界が0.3 Tのとき,サブミリ波の進行方向が約30°変化することが示された.この特性は,未だ十分でなないが,サブミリ波帯で動作するサーキュレータへ応用が可能であることを示す. 次いで,単体の固体プラズマ薄板を利用した場合について実験を行った.その結果から,サブミリ波の電力分布に偏りが生じ,それはFDTD解析結果と同様な傾向であることがわかった.以上から,解析と実験の両面から,サブミリ波の伝搬方向が変化する,即ちサーキュレータへ応用し得る特性の一端が示された. また,一方で伝搬方向に周期的にプラズマを配置した場合のサブミリ波透過量の周波数特性についてFDTD解析を行った.その結果から,単体のプラズマに比べ周期構造の場合は,周波数に対する透過量の変化が極めて大きくなることが分かった.この原因は現在検討中であるが,サーキュレータを周期構造プラズマで構成することでプラズマの効果が大きくなり特性が改善される可能性を示す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単体の固体プラズマを利用した場合について,解析と実験の両面から検討し,サブミリ波の伝搬方向が変化するサーキュレータの基本となる動作が確認できた.また,FDTD解析プログラムを開発するにあたり,構造や境界条件の設定がパラメータを入力するのみで自動的に反映されるようにしたことで,今後の解析効率の向上も見込まれるため.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,前年度に検討したプラズマのパラメータをもとに,様々な周期構造に固体プラズマを配置して解析を行い,その結果に基づき実験の準備を進める.当初は伝搬方向に対し垂直方向へのみ周期的な配置を試みる予定であるが,前年度の結果を踏まえ,伝搬方向にも周期構造を配置することでプラズマの効果がより顕著に現れる可能性についても検討する. 実験は比較的簡単な周期構造から始めるが,サブミリ波帯の実験試料の寸法は非常に小さいため,作製精度や構造の位置の僅かなずれが結果に大きく影響すると予想される.そこで,周波数が一桁低いミリ波帯で予備的な検討を並行して行う.この場合は発振器,検出器なども扱いやすいため,そこで得られた測定方法や試料作製に関する知識や技術をサブミリ波の実験へフィードバックする.
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Causes of Carryover |
年度末に計画した出張の旅費が,パック旅行を利用することで予定より節約できたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6万円程度を,消耗品,または旅費の補充などへ利用する.
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