2014 Fiscal Year Research-status Report
超高強度レーザーの偏光制御による高速電子のコヒーレンス向上とプラズ加熱への展開
Project/Area Number |
26400537
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Research Institution | The Graduate School for the Creation of New Photonics Industries |
Principal Investigator |
森 芳孝 光産業創成大学院大学, その他の研究科, 准教授 (60440616)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超高強度レーザー / レーザープラズマ相互作用 / 高速電子 / 偏光制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、超高強度レーザー電磁場を円偏光にすることでクイーバー運動を抑制し、レーザー照射により発生する高速電子のコヒーレンス向上(低温度化) を試みることである。具体的には、円偏光/直線偏光レーザーを固体/プリプラズマに照射した際の高速電子スペクトルを計測し、相対論的な強度を有するレーザー強度での円偏光電磁場に対する新たな高速電子温度の実験スケーリングを見出すとしている。レーザー偏光を調整することで、プリプラズマがある状態でも高速電子温度を抑制できる方法を探り、高速電子の飛程を短くすることで、プラズマ加熱の高効率化につなげることを意図している。 従来の高速電子による高速点火研究は、高速電子の温度を下げるためにプリプラズマの除去とレーザープリパルス制御に注力されてきたが、今回、偏光を制御することでその効果をめざす。偏光制御された相対論的強度レーザーとプラズマとの相互作用は、クイーバー運動に起因する熱運動を制御できるので、電子へのコヒーレントなエネルギー変換が実現できる。 本年度は、本研究の主となる高速電子計測のためのインライン電子スペクトロメータの設計とその制作をおこなった。インライン電子スペクトロメータは、磁気ヨーク、高速電子受光面、光学系、筐体、冷却CCDカメラよりなる。まず、16bitの冷却CCDカメラを選定し、その動作を確認した。次に、磁束密度1.0Tの磁気ヨークの設計および制作をおこない、電子エネルギー分析の際に重要となる磁場強度の2次元空間分布を磁場解析シミュレーションで抑えた。この制作した磁気ヨークにあわせて、現有のレーザー照射容器へ装着できるような筐体の設計と制作をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究実施計画は以下のとおりであった。 1.偏光可変素子の導入、2.インライン電子スペクトロメータの導入、3.固体ターゲットへのレーザー照射実験 この中で、2.インラインESMの設計と製造が当初予定よりもおくれたため、3.レーザープラズマ実験は2年次へ先送りとした。さらに、インライン電子スペクトロメータを重点的に整備したため、予算の関係上、1.偏光可変素子の導入は2年次購入するとした。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、偏光可変素子を導入し、その性能を評価する。その後、平成26年度に整備したインライン電子スペクトロメータを用いて、超高強度レーザーによる高速電子発生実験を行い、インライン電子スペクトロメータの立ち上げを行う。超高強度チタンサファイアレーザーは定常的に稼働中であるため、本計測器の性能確認後は、申請時の研究計画にそって実験スケジュールを遂行していく。
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