2015 Fiscal Year Research-status Report
活性酸素に着目した錯体形成に起因する光反応の分光研究
Project/Area Number |
26410006
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渋谷 一彦 東京農工大学, 生物システム応用科学府, 教授 (30126320)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 活性酸素 / 電子遷移 / 一重項酸素 / 消光 / 光反応 / 錯体形成 / りん光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要装置である温度可変の分光測定装置の整備と実験の状況は以下の通りである。 真空排気系、サンプル供給系、分光用光学系の調整は完了している。一方、サンプリング系で予想されない事態が発生し、「11.現在までの達成度」項で後述する理由のためにその問題解決に半年以上の月日を要した。温度調整系も基本機能としては当初の仕様目標を達成しているが、希ガス液体を作製する際の温度調整には特別の注意が必要であることが判明した。分散力に起因する希ガス間の分子間力は弱いため、液化温度と固化温度の差が3-4K程度と狭い温度範囲であり、分光用サンプルセル内で温度差が4K以上あると液体の一部固化して不均一分散系液体になる。実際、1-2時間程度で凝固点まで冷却すると分光用モニタービーム光が散乱されて測定が難しくなる。液化する際、サンプルセル内の位置依存する温度差の範囲を2K以内に制御する必要があり、現在その操作手順を完成中であ、既に予備実験ではその条件をクリアーしている。 固体酸素中及び希ガス固体中の可視領域及び紫外領域で酸素二量体の一光子吸収・二電子同時遷移スペクトルについては測定を終えている。現在、気相中で以前測定した電子遷移スペクトルとデータ比較検をしている。上記操作手順が整い次第、希ガス液体中での測定に進む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「10.研究実績の概要」項に記した通り、サンプリング系で予想されなかった事態が発生した。希ガスを液化させると分光用のモニター光が散乱されて希ガス液体中を透過しなくなった。最初はこの希ガス液体が不透明になる理由として、希ガスが液化する際に希ガス中に含まれる不純物あるいはサンプリング途中で混入する大気中物質が固化するためではないかと考えた。この観点から、サンプルガスの純度を入念にチェックしたが、結果として不純物が混在したり混入したりする可能性は否定された。最終的に、上述したように分光用サンプルセル内で温度差が4K 以上あり、液化する箇所と固化する箇所が共存し、不均一な分散系が生成したと結論した。温度調整系のサンプルセル内の位置依存する温度差の範囲を2K以内に制御する必要があり、現在その操作手順を完成中である。冷却時間を4時間程度に延ばすことでセル内の位置依存温度差を1-2Kに抑えることが可能となり、予備実験を成功したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
希ガスの液体サンプルの作製が完了すれば、(1)可視紫外吸収スペクトルの測定と(2)近赤外発光寿命の測定は既に実績のある既存装置を使用しての実験であるので、1年間の研究期間中に当初の研究目標は達成できる。
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Causes of Carryover |
上記「10.研究実績の概要」に記した通り、温度調整系のサンプルセル内の位置依存する温度差の範囲を2K以内に制御する必要があり、最終的に冷却時間を4時間程度に延ばすことでセル内の位置による温度差を2度以内に抑えることが可能となる。「サンプリングの問題が温度調整の問題である」という結論に辿り着くのに半年以上の月日を要してしまったが、透明な希ガス液体の作製に成功すれば、後は実績のある実験手法であり、一本道で研究が進捗すると考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
透明な希ガス液体の作製に成功すれば、実質的な実験計画の実施が可能となり、様々な消耗品等の研究費も必要となる。最終年度内で学会発表や論文投稿まで進めたい。
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Research Products
(3 results)