2015 Fiscal Year Research-status Report
放電支援型レーザーアブレーション法が開く含遷移金属活性種研究の新たな扉
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26410011
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡林 利明 静岡大学, 理学部, 教授 (70224045)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レーザーアブレーション / マイクロ波分光 / 含遷移金属活性種 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザーアブレーション法とは、レーザー光を不揮発性の試料上に集光し、その構成物質を気相へと導く方法である。この方法は融点数千度といった高融点の物質を室温において気化させることができるため、含金属活性種の生成法としても広く利用されている。しかし、気相中に生成した金属原子やクラスターなどの反応性は、一般に考えてられているよりもかなり小さく、そのままでは試料ガスとの反応が起きない場合も少なくない。このような反応を起こさせるためには、反応をスタートさせるような何らかのトリガーが必要となる。このトリガーとしてパルス放電を用いるのが本研究で用いる「放電支援型レーザーアブレーション法」である。 本年度は、チオール類による貴金属ナノクラスターの安定化に対するモデルとして重要な「貴金属-硫黄活性種の安定性と反応性」に注目した研究を行った。まず、最近新たな知見が得られた「金-硫黄活性種」についてさらに詳しい実験を行い、未知の金を含む活 性種のスペクトル線を多数観測した。これらについては、現在化学種の同定作業を進めている。また、金化学種で得られた知見を、「銀-硫黄活性種」にフィードバックさせたところ、同様な反応が進行していることを確認した。現在「銅-硫黄活性種」への展開を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「金-硫黄活性種」についての、分光学的検出と物理化学的解析が進み、現在投稿準備中である。さらに、その成果を「銀-硫黄活性種」にフィードバックしたところ金と同様な反応が進んでいることが確認された。その結果は学会にて発表済みであり、こちらも投稿にむけて準備を始めている。よって、現時点でおおむね順調にに進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在順調に進展している「金-硫黄活性種」「銀-硫黄活性種」についての研究を、重点的に進めてゆく。得られたノウハウををもとに、銅や白金などの他の金属と硫黄との結合についての研究へとフィードバックしてゆく予定である。さらには、貴金属クラスターを触媒として利用する場合のターゲットの大部分は有機化合物であることから、貴金属ー有機物活性種など、より生成が困難な化学種に向けてのチャレンジを進めてゆく。
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Causes of Carryover |
消耗品の消費が当初の見込みよりわずかに小さかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額が小さいため、次年度の予算と合わせて、消耗品購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] AuOH のミリ波分光2015
Author(s)
高橋竜樹・岡林恵美・岡林利明
Organizer
第9回分子科学討論会2015
Place of Presentation
東京工業大学大岡山キャンパス(東京都目黒区)
Year and Date
2015-09-16 – 2015-09-19
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