2014 Fiscal Year Research-status Report
気相分子の可視円偏光二色性観測のための蝶タイ型キャビティ増強吸収分光法の開発
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26410022
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松本 剛昭 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30360051)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キャビティ増強吸収 / キラリティ / 円偏光二色性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.連続発振型(CW)ダイオードレーザーによる蝶タイ型キャビティの性能評価と今後の研究課題の抽出を行った。従来のキャビティ増強吸収分光法では、光学キャビティを作る際に99.99%以上の反射率を持つ凹面鏡を用いる。しかし始めの評価試験では、キャビティからの透過光強度および断面パターンを視認する必要があったので、あえて99%の低反射率凹面鏡で光学キャビティを形成して、ここにCWレーザーを導入した。その結果、レーザーがキャビティ軸の中心を通過した良いアライメント状態にある場合、透過光は真円形状の断面パターンを示し、少しでもアライメントが崩れると上下左右に断面パターンが伸びることが確認された。この断面パターンの視認観測などを通じて幾つかの研究課題が浮かんできた。一つ目はモードマッチングの必要性である。キャビティを作る凹面鏡は、その形状により透過する平行光を分散させてしまうので、キャビティ導入前に凸レンズで集光して平行光を保存させれば、透過光強度を増大させることができ、最終的には検出感度の増強が望めるはずである。二つ目は、検出法の選定である。当初は、検出器(光電子増倍管やフォトダイオード)からの電気信号をチョッパーでパルス的に取り出すことを検討していたが、電圧計で直流的に値を読み込む方が安価で効率的に実験を進められそうであることがわかった。 2.赤外キャビティリングダウン分光法と二次元相関解析法を融合することにより、アセチレンクラスターの水素結合がサイズ増加に伴い構造変化する過程を解明した。赤外スペクトルには、凝集系結晶に対応する3230cm-1の広帯域バンドが観測された。これに二次元相関解析を適用すると、3228と3234cm-1を中心波数とする二つのバンドに分離され、各々斜方晶と立方晶に対応する~10量体、~1000量体のクラスターであることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の進行に大幅な遅れが生じたのは、平成26年8月に兵庫県立大学から静岡大学へと異動したことに依るものが大きい。この異動に伴う実験装置類(本研究課題とは別のもの)の移設と復旧作業に3~4ヶ月かかった。さらに、異動前は本研究課題のエフォートがほぼ50%を確保できる状況にあったが、異動後は講義担当やその他大学運営に携わる業務が増加したことによりエフォートは10~20%ほどまで激減してしまった。そのため、本研究費で購入を予定していたダイオードレーザーおよび高反射率凹面鏡の納入が平成26年12月と遅くなってしまい、これを使用した実験が平成27年度にずれ込んでしまった。以上の理由により、研究達成度は著しく低い状態で26年度を終えることになってしまい、申し訳なく思うと同時に残念でならない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定では、連続発振(CW)のダイオードレーザーを用いたキャビティ増強吸収分光を、4枚の高反射率凹面鏡で形成する蝶タイ型キャビティに適用することから取り組むつもりだったが、光源をナノ秒パルス色素レーザーに置き換えたキャビティリングダウン分光から始めることとする。なぜなら、キャビティからの透過光を検出する手法は、パルスレーザーによるものはこれまでのノウハウが蓄積されているので、蝶タイ型キャビティを迅速に評価するのに適していると考えられるからである。その後、光源をCWのダイオードレーザーと交換することで、円滑にキャビティ増強吸収分光へと移行できると確信している。 また当初予定では、光吸収の試料としてエレクトロスプレーイオン化法によるクロロフィル分子の液滴化を想定していたが、その前に薄型のガラスセルを用いて光吸収測定を行うことを検討している。CWのダイオードレーザーを用いたキャビティ増強吸収は、その測定原理が単一光路型の古典的な吸収分光と同じであるので、セルの使用は検出感度に大きな影響を与えないと予想している。また、溶液濃度を高くすることも可能なので、円偏光二色性を観測する試験的実験においても最適であると考えている。 以上の改善点を念頭に入れて、初年度の遅れを取り戻したいと考えている。
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Causes of Carryover |
蝶タイ型キャビティにCWダイオードレーザーを導入し、キャビティからの透過光を検出するための実験配置を試行錯誤した結果、光強度を数値化するためには高精度電圧計を購入した方が効率的であることが判明した(当初計画では既存のデジタルオシロスコープを使う予定だった)。検討している電圧計は10万円ほどであるが、これを考案したの年度末時点での残金が2万7千円だったので、これを27年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由にもある通り、光強度検出のための電圧計を購入する際に使用する。
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Research Products
(2 results)