2014 Fiscal Year Research-status Report
タンデムトラップを用いる液滴からの多成分単一粒子触媒の合成と反応性評価
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26410024
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
河野 淳也 学習院大学, 理学部, 准教授 (90557753)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イオントラップ / 触媒評価 / 液滴混合 / サーモグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、安価で入手の容易な物質を組み合わせて高性能触媒を作り出すことである。このため、多成分の金属を含む酸化物担持触媒の単一粒子の合成と反応性評価を、触媒組成を変化させながら行う。具体的には、混合トラップ、反応トラップからなるタンデムイオントラップ装置を開発し、混合トラップで液滴混合によって単一粒子触媒を合成し、反応トラップに搬送した後に反応気体下の加熱と温度測定を行う。 平成26年度は,液滴混合トラップの設計・製作およびトラップ微粒子の加熱,冷却過程における温度の観測を行った。液滴混合トラップの設計・製作では,4つの液滴ノズルを配置することのできる4重極トラップを設計・製作した。トラップは厚さ12 ㎜の円盤型電極(リング電極)とその両側面を挟むエンドキャップ電極により構成した。リング電極に4つの液滴ノズルを配置し、トラップ内部に微粒子構成成分の溶液を送りこめるようにした。液滴混合トラップに2つの液滴ノズルを配置し,それぞれから生成する液滴を衝突により混合し,トラップした。2つの液滴にそれぞれ正,負の電荷を付与した。その際,片方の電荷を多くし,液滴衝突による電荷中和の後でも電荷が残るようにした。リング電極の電圧をパルス状に変化させ,タイミングを制御して液滴を生成させることによって,2つの液滴に異なる極性の電荷を付与した。トラップ微粒子の加熱,冷却過程における温度観測では,反応トラップを用いてKCl微粒子をトラップし,CO2レーザーによる加熱を行った。レーザー照射を瞬間的に打ち切り,サーモグラフィーカメラで放射を観測することによって粒子の温度を測定した。サーモグラフィーカメラのシャッタータイミングを遅らせて温度測定を行うことにより,CO2レーザー照射後の冷却過程を観測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の目標であった液滴混合トラップの設計・製作が実現し,トラップ性能の確認および液滴混合を伴う液滴トラップにも成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
液滴混合トラップと反応トラップを接合する。触媒微粒子を液滴混合トラップで生成させ,反応トラップに搬送する。反応トラップにおいて反応気体(COとO2の混合気体)中で触媒微粒子にCO2レーザーを照射し,微粒子の温度を計測する。具体的には以下の項目を進める。(1) 液滴混合トラップによる微粒子調製:液滴混合トラップと反応トラップを接合した上で,液滴混合トラップの微粒子調製性能が十分に発揮されていることを確認する。(2) 液滴混合トラップから反応トラップへの微粒子の搬送:液滴混合トラップと反応トラップを隔てているリング電極にパルス電圧を与え,液滴混合トラップから反応トラップへと微粒子を搬送する。(3) 開発装置による反応性評価:液滴混合トラップで、担体であるTiO2の量が一定で,触媒本体であるAu濃度の異なる微粒子を作成する。その微粒子の反応性が,Auの量の増加によって増加することを確かめる。(4) 触媒金属組成の網羅的探索:触媒微粒子にさまざまな金属元素を導入し、元素組成と触媒性能との関係を網羅的に明らかにする。その結果として、高い反応性を持つ触媒を見出す。
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Causes of Carryover |
次年度に必要となる信号発生器の見積もりが当初予算よりも高かった。その購入資金に充当するため,次年度使用が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
信号発生器,トラップ用の交流電源,微粒子観測システムの購入に使用する予定である。
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