2014 Fiscal Year Research-status Report
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26410047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10262924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝野 芳織 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00311762)
周 大揚 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00324848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水素借用反応 / イリジウム / 水素移動反応 / アルドール反応 / catalponol |
Outline of Annual Research Achievements |
水素借用反応を用いる不斉カスケード反応では水素移動反応と炭素-炭素結合生成反応の連携によるカスケード反応の開発を目指した。本反応を達成できれば、対称型のメソジオールからα位がアルキル化された光学活性ヒドロキシケトンを1工程で合成可能になる。本反応では、一段階目で遷移金属触媒による酸化反応で不斉を有するケトンが生成する。二段階目で塩基触媒により、アルドール反応が進行する。3段階目の還元で第一段階目で利用した遷移金属触媒の還元型が再び作用する。この際エノンを位置選択的、立体選択的に還元する。このように、本反応では2種類の触媒が共存するなかで、酸化、還元、炭素-炭素結合生成反応の触媒サイクルをいかに連携させながら制御できるかが、ポイントとなる。 まずモデル反応として、キラルイリジウム錯体触媒存在下、テトラヒドロナフタレンジオールとベンズアルデヒドの不斉カスケード反応を行ったところ、収率33%、不斉収率97%eeで目的とするα-ベンジル-γ-ヒドロキシ-1-テトラロンが得られた。そこで、α,β-不飽和アルデヒドを基質に用い、catalponolの合成を検討した。Catalponolは京都大学の井上により、1971年にノウゼンカズラ科のキササゲから単離された天然物で、解熱作用、ドーパミン生合成促進作用、L-DOPA誘導細胞毒性防御効果を有することが報告されている。これまで全合成の報告は2010年のスイスのKundigらによる1例のみである。種々検討の結果、ワンポット法で3段階目に2-プロパノールを加え、目的とするcatalponolが、epi体との混合物として計40%の収率、不斉収率99%eeで得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水素借用反応を不斉反応に展開し、目的とするcatalponolの触媒的不斉合成に成功した。本合成としては2番目の結果になるが、短工程で合成できたことになる。不斉収率も99%と高く得ることに成功した。しかしながら、収率に課題があり、epi体が生成しているので、これをいかに防ぐかが今後の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
収率の向上を目指すために、どの行程に問題があるか検証する。反応終了後にエノン体が回収されることから、還元行程に課題があると予想され、最初の2行程終了の段階で反応を止め、最終段階は別途、位置兼立体選択的な還元反応を探索する。
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Causes of Carryover |
不斉収率評価用の分離消耗品が必要となり、消耗品代が嵩み、予定していた備品購入はできなかった。しかしながら、旅費は他経費を獲得できたため、節約でき最終的に余剰金が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の物品費、成果発表の旅費に使用する。
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