2014 Fiscal Year Research-status Report
光触媒水素発生反応を組み合わせた完全バイオマスリフォーミングの構築
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26410055
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
保田 昌秀 宮崎大学, 工学部, 教授 (00174516)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 白金担持酸化チタン / 光触媒リフォーミング / バイオ燃料化 / リグノルロース / グリセロール / 隣接ヘテロ原子アシスト効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) リグノセルロース(タケ、イナワラ、ススキ)の同時糖化発酵(SSF)→キシロースの光触媒水素転換(PR)によるバイオ燃料化について検討した。リグノセルロースのアルカリ処理物をセルラーゼ、キシラナーゼおよび酵母菌を用いてSSFを行い、エタノールとキシロースを得た。次にキシロースを犠牲剤とする白金担持酸化チタンによるPRを行った。水素発生収率はそれぞれ74%~97%であった。エネルギー変換効率をエタノールおよび水素の合計の燃焼熱で比較すると、タケ、ススキ、イナワラに含まれる糖質の燃焼熱を基準として、それぞれ73.4%, 91.1%, 85.0%である分かった。 2) グリセロールは植物油類とメタノールとのエステル交換反応から副生物するものであり、これを犠牲剤に用いる白金担持酸化チタン光触媒水素発生反応を行った。植物油、メタノール、NaOHの混合物を61℃で1時間加熱した。分液操作によってグリセロール(溶液A)を収率73.3%で得た。また、バイオディーゼルの水洗浄によって、未反応メタノール(溶液B)を回収した。溶液Aおよび溶液Bを犠牲剤とする白金担持酸化チタン光触媒によって水素に変換した。燃焼熱で計算したエネルギー回収率はほぼ100%である分かった。副産物のグリセロールと未反応のメタノールを同時に水素の変換できるシステムとして有用であると思われる。 3) 我々は、アルコールを犠牲剤とする白金担持酸化チタン光触媒水素発生反応において、「すべての炭素に水酸基が置換した場合に、水素発生量が理論量に近くなる」という隣接酸素原子アシストを見出している。本研究では、犠牲剤にアミン類を用いて、水素発生収率を検討した。その結果、アミノ基の置換した炭素に隣接する炭素上に酸素原子および窒素原子などのヘテロ原子が置換すると水素発生収率が高くなることが分かった。これらの結果からアミンおよびアルコールについて「隣接ヘテロ原子アシスト効果」が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1. バイオマスとして5種類のリグノセルロースを用いて、生化学的手法(同時糖化発酵)と光触媒的手法を組み合わせて、エタノールおよび水素に高いエネルギー回収率で変換することに成功した。 2. 栽培系のリグノセルロースからのバイオエタノール生産では世界最高収率にあたる84.6%をイタリアンライグラスの同時糖化共発酵で達成することが出来た。 3. 従来廃棄物となっていたバイオディーゼル合成時の副産物であるグリセロールを有効に水素転換できる方法を示した。 4.従来からの経験として糖などのすべての炭素に酸素原子が置換した犠牲剤が犠牲剤として優れていることが分かっていた。そこで、本研究では収率と構造の関係を詳細に検討して、「隣接ヘテロ原子アシスト効果」を見出した。犠牲剤としての性能を構造で評価する方法として有用であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
糖類を犠牲剤とする白金担持光触媒反応による水素発生を検討する。特に量子収率の測定によって、ヒドロキシラジカルによる水素引き抜きの反応速度定数を求める。糖には多くの立体異性体が存在するので、立体構造と反応速度定数の関係を明らかにする。
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