2014 Fiscal Year Research-status Report
超原子価ヨウ素への相互作用に基づく活性化と選択性向上
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26410057
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
藤田 守文 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (00275314)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超原子価ヨウ素 / 酸化 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規な光学活性超原子価ヨウ素試薬(触媒)の開発に先立ち、新しい酸化反応系の開発を行った。 オルト-アルケニル安息香酸アミドを反応基質に用いた酸化反応において、酸素求核種で分子内環化した6員環ラクトンイミンを選択的に得られる条件を見出すことに成功した。過剰量の三フッ化ホウ素-エーテル錯体(BF3-OEt2)を共存させ、ヨードソベンゼンジアセタート(PhI(OAc)2)を用いて、-80℃の低温下で酸化を行う反応条件が適していた。アミドチッ素上の置換基として、トシル基、メトキシ基、ベンズアミド基などを用いた場合に、収率よくラクトンイミンを得ることができた。さらに、乳酸を不斉源に持つ光学活性超原子価ヨウ素試薬を用いると、ラクトンイミン生成物を74~90%eeと比較的高いエナンチオ選択性で得ることができた。 ここで得られた6員環ラクトンイミンを用いて、4-ヒドロキシメレイン天然物への変換反応の開発を行った。イミデート部分をパラジウム触媒の配向基として利用したC-H活性化反応により、芳香環8位に位置選択的に酸素官能基を導入することを試みた。チッ素上の置換基としてメトキシ基を用いたときに、収率よく8位に水酸基を導入することができた。実際に、4-ヒドロキシメレインおよび4-ヒドロキシ-6-メトキシメレインを不斉合成した。 この酸化反応において、超原子価ヨウ素酸化剤は当量以上用いており、今後、触媒量まで減らした条件での反応検討が必要になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酸化反応系をさらに拡充するため、新たな酸化反応を開発しているが、選択性よく高収率で生成物が得られ、かつ、適用範囲の広い反応系の開発が1例のみにとどまっている。できれば数例の新しい反応系を見つけたかった。
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Strategy for Future Research Activity |
反応系を増やしつつ、触媒構造および条件の検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
触媒開発に先立ち、新たな酸化反応の開発を重点的に行ったため、触媒開発が手薄になったことが理由のひとつに挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
反応開発および触媒開発により一層、力を入れるため、試薬の使用量が増加することが見込まれ、それに充当する。
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Research Products
(6 results)