2016 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis and Reactivities of Silanone Transition-metal Complexes
Project/Area Number |
26410066
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 圭司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20203458)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | シラノン錯体 / ケイ素 / 反応性 / 反応機構 / 加水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリル(シラノン)錯体Cp*(CO)2M(O=Si(DMAP)Mes2)(SiMe3) (1:M = W, Cp* = η-C5Me5, DMAP = 4-(ジメチルアミノ)ピリジン,Mes = メシチル基; 2: M = Mo)とメタノールのベンゼン中での反応では,メトキシシラノールMeOSiMes2OHおよびメトキシシランMeOSiMe3がほぼ等量ずつ生成する。一方,シラノン錯体と水とのベンゼン中での反応では,中心金属によって生成物が大きく影響され,W錯体1からはジシロキサノールMe3SiOSiMe2OHが,Mo錯体2からはシランジオールMes2Si(OH)2が主生成物として生成する。その理由を調べるため,共同研究によりシラノン錯体と水との反応の機構に関する理論的研究をおこなった。その結果,W錯体とMo錯体では,(1) シラノンのケイ素原子上の形式電荷が異なり求電子性に差があること,および(2) 金属-シラノン骨格に対する水の酸化的付加反応の活性化エネルギーに差があることが明らかになった。これらの性質の違いにより,WおよびMo錯体と水との反応は異なった経路で進行することが分かった。 シラノン錯体1および2は,強いルイス塩基であるDMAPで安定化されており,反応性が低い。より反応活性なシラノン錯体を得るため,DMAPの代わりにより弱いルイス塩基であるピリジンをケイ素上に配位した錯体の合成を行った。まず,ベンゼンやヘキサンなどを溶媒として,ピリジン共存下でシラノン錯体を発生させたが目的化合物は得られなかった。しかし,ピリジンを溶媒として用いてその中でシラノン錯体を発生させることで,目的錯体が合成できることを見いだした。現在,得られた錯体の単離,同定を進めている。
|
Research Products
(10 results)