2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26410073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
枝 和男 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00193996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一志 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60342953)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノマテリアル / CDW物質 / 電気物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,低温で電荷密度波(CDW)に由来した非線形伝導や光応答などの興味深い特性を示すことで知られるブルーブロンズ(M0.3MoO3, M=K,Rb,Cs)を特定の結晶方向でCDWのコヒーレンス長以下のサイズをもつ針状単結晶(ナノリボン)に調製する技術を開発し,それらナノリボンの電子物性を詳しく調べることである. 本年度の研究では,1)これまでに明らかにできている混晶系Cs-Kブルーブロンズ・ナノリボンの調製方法を改良し,効率的にナノリボンを調製する方法を確立するため,ブルーブロンズ・ナノリボンの生成プロセスを詳細に調べ,ナノリボンの生成メカニズムを明らかにすることと,2)単一ナノリボン粒子の電気物性を調べるため,本研究計画により既に確立されたナノリボン調製法・分散法・載置法を利用して得られる基板上に載置されたブルーブロンズ・ナノリボンに電子線リソグラフィーにより良好な電極を描画する方法を確立することに取り組んだ. それにより水熱条件下での固相反応による水和アルカリ金属ブロンズからK0.3MoO3ナノリボンへの構造転換プロセスの詳細を明らかにするとともにCsを含む系での構造転換プロセスの違いを明らかにすることができた.また,基板上に載置された単一ナノリボン粒子への電子線リソグラフィーによる電極の描画に関してはまだ少し取り組む必要がある段階にある.なお,副次的にではあるが,本年度の研究でガスセンサーなどの用途に適すると考えられる還元型の新たなナノリボン物質を調製する方法を新たに見出すことにも成功した.これらの研究成果は,環太平洋国際化学会議2015で報告された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の目的は,低温で電荷密度波(CDW)に由来した非線形伝導や光応答などの興味深い特性を示すことで知られるブルーブロンズ(M0.3MoO3, M=K,Rb,Cs)を特定の結晶方向でCDWのコヒーレンス長以下のサイズに調製した単結晶(ナノリボン)試料の電子物性を詳しく調べることであり,本年度の研究では,研究計画のひとつとして,基板上に載置された単一ナノリボン粒子への電子線リソグラフィーによる良好な電極の描画法の確立を目指して取り組んだ.しかしその電極描画法はまだ少し取り組む必要がある段階にあるため.
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Strategy for Future Research Activity |
1)本年度と本年度までの研究計画で確立された方法を用いて,種々の混晶組成をもつCs-Kブルーブロンズ・ナノリボンを調製する. 2)本研究計画で確立できたナノリボン試料の分散法や載置法を利用して得られる,基板上に載置された種々のブルーブロンズ・ナノリボンに電子線リソグラフィーにより電極を描画し,4端子法での単一ナノリボン粒子の電気物性測定を行い,ブルーブロンズ・ナノリボンの組成やサイズと電気物性の関係を明らかにする. 3)研究全体を総括し,CDWナノリボンの LL相やCDW相に関わる物性の制御について明らかにする.
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Causes of Carryover |
当初の研究計画で計上していた4端子法での単一ナノリボン粒子の電気物性測定用プローブの作成が設計仕様の調整と納期調整の関係で次年度に持ち越したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に残された研究経費は,当初の研究計画で計上していた電気物性測定用のプローブ作成に使用する.
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