2016 Fiscal Year Research-status Report
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26410081
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
松下 能孝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 材料分析ステーション, 主幹エンジニア (70422441)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高温X線回折 / 電池材料 / リチウム-空気電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の実験室系温度可変型粉末回折計を利用して、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥酸素および真空下でのLi2O2の熱的挙動の追跡実験を行うと共に、Li系過酸化物の合成ならびに単結晶化を行った。熱的挙動追跡実験においては、どの雰囲気においても基本約200℃から分解を開始する事が分かった。しかしながら、乾燥窒素、乾燥酸素および真空下においては最終的にLi2Oに分解変異する事が判明した。一方、乾燥空気下においては、主たる最終生成物はLiCO3およびLi2Oである事が判明した。この事はリチウム-空気電池の製造および製品化における重要な知見と判断される。一方、後者のLi系過酸化物の合成および単結晶化においては、過酸化水素水、純粋ならびにこれら溶媒の混合比を変えると共に、温度・時間のパラメーターを振りつつ実験を遂行している。現状では、含過酸化水素水、含水塩とおぼしき物質が得られているが、現状、最適条件が得られておらず、単相化および単結晶化が出来ていない。これは主原料溶媒である市販の過酸化水素水中の過酸化水素濃度が一定していない面を懸念している。しかしながら、徐々に得られている物質の結晶性ならびに粒子サイズの改善をみており、今後の条件出しに関する知見が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状、含水・含過酸化水素水塩の単相化ならびに単結晶化が当初の想定よりも困難である為、延長を希望する。本、困難さは主原料溶媒である市販の過酸化水素水中の過酸化水素濃度が一定していない面が考えられる。一方、法規制により市販の過酸化水素水中の公称濃度は変えられない。そこで、今後は仕込み時における過酸化水素水量を増やすと共に、合成温度幅を変えるなどの処理を行い、調整を試みる事で解決を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の目標である過酸化リチウムの含水塩の合成を積極的に推進して行く。前述の様に現状の困難さを克服する為に前述の様に仕込み時の過酸化水素水量を増やすと共に、合成温度幅を変えるなどの処理を行って上で、過酸化リチウム系物質の総括を目指す事とする。
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Causes of Carryover |
現状において合成・単結晶化に計画の遅延が生じている。しかしながら、徐々に成果が出つつあるので、その進捗状況を見極めた上で予算の再配分を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
原料試薬の購入および現状の成果を公表すべく学会登録費として予算を振り分ける。
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