2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26410085
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桝 飛雄真 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80412394)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 有機結晶 / 結晶多形 / キラリティー / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、適切に分子設計された有機コンポーネントを用いて、キラリティーを有する結晶や液晶などの分子集合体を作成し、外部刺激によってその「柔軟なキラリティー」を制御することを目的としている。全体の計画では、まずキラル集合体の構築に適した新規有機化合物の効率的な合成を行う。次に結晶等の集合体を形成し、分析機器を用いた構造解析及び動的挙動の観測を行う。最終段階では、それまでの知見を基に柔軟なキラリティーの制御と機能性材料への応用を目指す。 平成26年度までに、芳香族スルホンアミド、芳香族アミドなど複数の新規化合物の設計と合成を行い、その結晶構造を明らかにした。またβカルボリン類における結晶多形転移の例を見出した。 平成27年度には、上記を発展させる合成と結晶構造解析を行った。まず芳香族スルホンアミドにおいては、新たな水素結合性部位を有する化合物において、らせん状の(ホモキラルな)水素結合ネットワークを観測し、また結晶多形による構造の違いも観測した。 また芳香族アミドを基本骨格とした環状および球状化合物の合成を進めた。環状化合物においては、不斉結晶が得られる例が見出された。また球状化合物においては、種々の官能基を有する分子や、内部空孔への開口部を有する分子を合成した。これらのラセミ体における結晶多形を観測し、またゲストとして溶媒分子が分子間空孔に取り込まれ、疑似結晶多形を発現することを示した。現在、キラル分割した試料における結晶構造解析に取り組んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
芳香族スルホンアミドの合成においては、当初予定していた種々の化合物が得られ、結晶構造解析にも成功した。ただし不斉結晶が得られた化合物はごく一部であるため、さらなる探索が必要である。 球状芳香族アミドの合成においては、当初予定していた最終生成物が得られ、キラル分割に取り組んでいる。またさらに分子設計を発展させた構造の合成に取り組んでいる。 またβカルボリン類については、新たに得られた結晶多形転移の観察と制御に重点を置いたため、当初予定していた誘導体の合成には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見を基に、新規化合物についてさらに合成を進める。特に芳香族アミドを用いた球状化合物については、官能基の変換によって新たな結晶構造が見出されており、機能化につながる官能基修飾を行う予定である。また球状化合物のキラル分割および結晶化を行い、ラセミ体の結晶構造との差異についても解析する。 既に得られている化合物については、結晶化を進めると共に、引き続き広範な結晶化条件の制御により、多形および不斉結晶化の探索を行う。特に芳香族スルホンアミドやβカルボリン類で見られている結晶多形転移を重点的に観測し、多形制御に関する知見を得る。 さらに、不斉結晶化が見られた幾つかの化合物については、他の化合物との混合結晶化によるに不斉増幅などの応用を試みる。
|