2016 Fiscal Year Research-status Report
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26410094
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
湯浅 順平 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 講師 (00508054)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNA / 金属錯体 / ナノサイズ / 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的はミスマッチDNAをテンプレートに利用してこれまで未踏領域であった0.5~数10nmの距離で分子をプログラミング配列する技術を確立することである。そのための具体的な項目として、研究計画① ミスマッチDNAの合成 研究計画② 錯体のプログラミング 研究計画③ ナノ粒子の担持 研究計画④ 基盤への固定化 研究計画⑤ 加熱処理、有機物の除去 研究計画⑥カーボンナノチューブの生成に取り組んだ。本年度はミスマッチDNAとの相互作用を行うことのできる平面性の希土類金属錯体の合成に取り組んだ。具体的には希土類金属の配位部位に平面性を持たせるため、三重結合を導入し平面性の高い芳香族金属配位部位を導入した新規平面性配位子を合成した。この新規平面性配位子に対して、ユーロピウムイオンや亜鉛イオンなどの金属イオンを作用させることで錯体形成を行った。錯体形成は紫外可視吸収スペクトルによる観測、及び質量分析から行った。またこれとは別にマイナスの電荷を帯びた8配位のキラル希土類錯体を自己集積化することで、DNAに見られるような特徴的な螺旋構造を構築できることを見出し、論文として報告することで(Chem. Com. 2016)大きなインパクトを与えることに成功した。また基盤的な研究として別途、溶液中におけるマイナス電荷のユーロピウム錯体形成のダイナミクスを系統的な分光分析から明らかにしている(J. Phys Chem. A 2016)。これらの基礎的な知見は、ミスマッチDNAと金属錯体とを相互作用させる分子設計指針を構築すう上で重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は概ね順調に進行している。新規平面性配位子を有する新規金属錯体群の構築に成功した。また透過型電子顕微鏡による観測からこの新規平面性配位子は、貧溶媒と良溶媒との界面においてユニークな自己組織化構造を形成することを明らかにした。またこれとは別にマイナスの電荷を帯びた8配位のキラル希土類錯体を自己集積化することで、DNAに見られるような特徴的な螺旋構造を構築できることを見出し、論文として報告することで(Chem. Com. 2016)大きなインパクトを与えることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画③ ナノ粒子の担持 研究計画④ 基盤への固定化 研究計画⑤ 加熱処理、有機物の除去 研究計画⑥カーボンナノチューブの生成に取り組む予定である。そのためには上述の錯体種を自己組織化によって基盤へ吸着させることが必要となる。今後はその目的のための分子設計として、配位子に金属イオンとの相互作用部位のみならず、ミスマッチDNA塩基と水素結合することの出来る水素結合ドナーを持った新規配位子を合成する予定である。
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Causes of Carryover |
研究終盤において、開発した分子が自発的な螺旋集積構造を形成する等の当初予想していなかったインパクトのある結果が得られた。これらの発見を展開させるために追加の実験を必要とするため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規分子設計に基づく、有機配位子合成に必要な試薬代及び実験にもちいる消耗備品の購入費用に使用される。
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