2014 Fiscal Year Research-status Report
非ビアリール型軸不斉キラル化合物の創成と触媒的不斉反応へ利用
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26410109
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三野 孝 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302533)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キラル化合物 / 軸不斉 / アミノホスフィン / 不斉配位子 / 触媒的不斉反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
非ビアリール型軸不斉を持つキラル化合物は、BINAPなどのビアリール型軸不斉を持つキラル化合物と比較して報告例が少ないが、不斉配位子への利用など、未知なる可能性を秘めている。本申請者はこれまでに、炭素-窒素結合間に軸不斉を持つキラルなアミノホスフィンを開発してきた。本年度は、これらの知見をもとに、研究実施計画に記載した研究課題について実施した。 はじめに、既に報告している化合物のアダマンチル基をt-ブチル基に変換した化合物の合成、光学分割を行った。その結果、光学活性な対応する化合物を得ることに成功した。さらに得られた光学活性体をパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応の不斉配位子として用いたところ、最高95%eeの不斉収率で対応する生成物が得られることを明らかにした。 次に、炭素-窒素結合間に軸不斉を持つキラル化合物のメチル基をアリル基やシンナミル基に変換した6種類の化合物の合成を行った。その結果、1種類については最適条件を見いだすことができなかったが、残りの5種類についてはキラルHPLCによる分析によりエナンチオマーの存在を確認することができた。さらに、そのうちの2種類について分取用キラルHPLCで光学分割を行ったところ、分割に成功し、光学活性体として得ることにも成功した。得られた光学活性体のラセミ化の半減期は非常に長いことが明らかとなり、光学活性体として安定に存在することも明らかとなった。さらに得られた光学活性体をパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応の不斉配位子として用いたところ、光学活性な生成物が得られることを明らかにした。今後は、反応条件の最適化を行う予定である。 最後に非ビアリール型軸不斉を持つα-置換スチレン誘導体の合成についても検討を行ったが、残念ながら目的物の合成には至らなかった。今後は、別法による合成を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究課題1については、順調に進行し、パラジウム触媒による不斉反応の不斉配位子として用いることが可能であることを明らかにした。その結果、目的とする課題を達成するができ、学術論文として報告することができた。また、研究課題2についても、順調に進行し、光学活性体を得ることに成功し、その研究成果の一部について学会発表を行った。一方、研究課題3について、これまでのところ、残念ながら目的物の合成には至っておらず、次年度以降、代替法を行い、目的物の合成を達成したい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題2について、構造の最適化、新しい触媒的不斉反応への適用など、積極的に研究を推進していきたいと思う。またこれまで第三級アルキル基が置換した非ビアリール型軸不斉キラル化合物の合成を行ってきたが、今後は第二級アルキル基が置換した非ビアリール型軸不斉キラル化合物の合成にもチャレンジしたい。 一方、研究課題3については代替法を行い、早急に目的物の合成を完了できるよう検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたものの、その金額は10万円以下であり、またこれは使用する試薬についてより安価なメーカーを探し、これを利用することにより、計画よりも削減できたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、必要な試薬を購入するために使用する予定である。また次年度以降も予算を有効に使用することにより、より多くの研究成果を見出せるように心がけたい。
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Research Products
(6 results)