2016 Fiscal Year Annual Research Report
Efficient Asymmetric Synthesis of Quasi-Natural Bioactive Compounds Having Contiguous All-Carbon Quaternary Stereocenters
Project/Area Number |
26410116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大松 亨介 名古屋大学, 工学研究科(WPI), 特任准教授 (00508997)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 不斉合成 / 反応開発 / 多連続不斉炭素 / キラル配位子 / パラジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
天然物や医農薬といった有機化合物には、その骨格中に不斉四級炭素(四つの異なる炭素置換基をもつ不斉炭素)を有するものが数多く存在している。本研究では、代表者が独自に開発してきた高性能で構造多様性に富んだ不斉触媒を武器に、不斉四級炭素をもつ複雑なキラル化合物群の効率的不斉合成法の開発に取り組んだ。 今年度の研究ではまず、前年度までに開発したオキサゾリジノンと電子不足アルケンとの不斉[3+2]環化付加反応の適用性を拡大すると同時に、反応の立体化学決定段階の解明に焦点を当てた機構解析を行なった。その結果、電子不足アルケンのプロキラル面の識別に加えて、π-σ-π異性化を介したアリルパラジウム錯体の面不斉の収束が起こることで、二連続不斉四級炭素が立体選択的に構築されていることが判明した。 また、これまでに開発したイオン対型配位子のライブラリを拡大する新たな戦略を開発した。イオン対型キラル配位子を用いた不斉アリル化反応の機構解析実験により、パラジウムに対して2分子のアンモニウムホスフィンが配位した錯体が結合形成段階に関与することを明らかにしていたが、錯体の構造に改めて着目すると、最大で3分子のキラルアニオンを錯体の対イオンとして取り込める可能性が考えられた。この発想と、これまでに確立したイオン対型配位子の系内発生法に基づき、反応に用いるキラルな酸の等量を変化させるだけで、超分子キラルパラジウム錯体の構造と機能が変化することを発見した。具体的には、加えるリン酸の量を変えて反応検討を行った結果、パラジウム、アンモニウムホスフィン、リン酸を1:2:3の比率で混合して調製した錯体が、従来法の1:2:2錯体よりもはるかに高い立体制御能を発揮することを見出した。
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Research Products
(6 results)