2015 Fiscal Year Research-status Report
新規ビスイミダゾリン金属-触媒創製に基づく環境調和型合成技術の開発
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26410117
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 修一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20335087)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
広範囲の触媒的エナンチオ選択的反応かつ循環型触媒システムに適用可能な新規不斉触媒の開発を目指し研究を行った。特に、本年度は、不斉ビスイミダゾリン-パラジウム触媒を用い、ニトリル化合物の特異的活性化に基づく医薬品の前駆体合成を検討した。 まず、アセトニトリルのα位に硫黄原子を導入したα-チオニトリル類を用い、我々が開発してきたビスイミダゾリン-パラジウム触媒によるイミンへの反応を検討した。その結果、イミダゾリン上の置換基を嵩高くすることによって、大きく立体選択性が変化することが明らかとなり、触媒活性化に用いる銀塩として、アセチルアセトナト銀を用いることで、高い立体選択性の発現に成功した。また、添加物としてヘキサフルオロイソプロピルアルコールを用いると、立体選択性が向上することも明らかとなった。 さらに、アセトニトリルのα位にアミノ基を導入したα-アミノニトリル類を用い、反応を検討した。このα-アミノアセトニトリルとイミン類の反応は、医薬品構造に多く存在する光学活性なα,β-ジアミノニトリル構造を簡便に合成できる非常に有用な手法であるが、これまでにその成功例は多くない。そこで、ビスイミダゾリン-パラジウム触媒を用い、α-アミノアセトニトリルとイミン類の反応を検討したところ、高立体選択的に生成物が得られることが明らかとなった。またこの反応は、ジアゾ化合物への付加反応にも適用でき、α,α-ジアミノニトリル構造を簡便に調製できることも明らかとなった。 現在、これらの知見を活かし、さらに嵩高い置換基を有するビスイミダゾリン-パラジウム触媒の開発も行い、これまでに達成できなかった不斉合成反応に関して検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画では、幾つかの不斉合成手法を可能にすることを目指しており、研究実績に示したようにこれまでに成功例のない合成手法2つを達成した。このように、研究実施計画にあった普遍的不斉合成手法の開発と言った観点から、一定のレベルの成果が上げられたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,高機能性を有する新規不斉触媒を用い、未だ効率的合成法の確立が為されていない不斉合成反応を中心に検討し、生理活性物質合成を目指す。また、分子軌道計算を用いる不斉触媒設計、反応機構解明も平行して検討する。
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