2015 Fiscal Year Research-status Report
有機分子触媒を用いた多置換ビシクロ化合物のワンポット不斉合成法の開発と応用
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26410121
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高木 隆吉 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90304394)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / Michael反応 / 不斉合成 / エナンチオ選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度、見い出した有機分子触媒を用いたシクロヘキサノン誘導体と脱離基を有するアクリル酸誘導体とのエナンチオ選択的分子間Michael反応を鍵反応とした連続的Michael反応による多置換ビシクロ化合物のワンポット不斉合成法について検討した。昨年度、見い出した反応条件に基づき、シンコナアルカロイド由来の四級アンモニウム塩を不斉分子触媒として用いシクロヘキサノン誘導体と脱離基を有するアクリル酸誘導体との分子間Michael反応によりMichael反応生成物をエナンチオ選択的に発生した後、その反応溶液に分子内Michael反応の反応試剤である臭化テトラブチルアンモニウム、炭酸カリウムを加え還流するとエナンチオ選択性が大幅な低下をすることなく、適度な収率で多置換ビシクロ化合物をワンポットで得られることを見い出した。また、種々の置換基を有するシクロヘキサノン誘導体を用い、この多置換ビシクロ化合物の不斉ワンポット反応を検討したところ、最初の分子間Michael反応において反応基質が完全に消費されていないことに起因する多置換ビシクロ化合物の収量の低下や分子内Michael反応における位置選択性、多置換ビシクロ化合物のエナンチオ選択性の決定におけるエナンチオマーの検出方法に問題があることが明らかとなった。今後、多置換ビシクロ化合物の収量改善および分子内Michael反応における位置選択性を改善することで、この多置換ビシクロ化合物のワンポット構築法は種々のビシクロ化合物の効率的な不斉合成法となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、本研究の目的の一つである多置換ビシクロ化合物のワンポット不斉合成法が実現可能であることが明らかとなった。しかしながら、ワンポット不斉合成法にはいくつかの問題点もあることが明らかとなり、更なる検討が必要であることも分かった。以上より、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で明らかとなった問題点を解決するため、連続的Michael反応の内、分子内Michael反応における反応条件の検討やエナンチオマーの検出方法の検討を行う。また、この多置換ビシクロ化合物のワンポット不斉合成法が天然有機化合物Plukenetione Aの全合成に適用可能か検討する。
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Causes of Carryover |
今年度も研究が概ね順調に進展し、消耗品などに必要な物品費への支出を抑えることができたため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、予定していた有機試薬類やガラス器具類、キラルカラム担体などの消耗品の充実および旅費に加え、効率的な研究遂行に必要な装置類の購入を予定している。
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