2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26410125
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
齋藤 慎一 東京理科大学, 理学部, 教授 (80283076)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ロタキサン / 銅触媒 / 大環状化合物 / 触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターロック化合物は将来的に分子スイッチや分子マシンの構成要素として期待されている分子でありながら、合成上の制約が大きいために合成可能な分子の種類が限られている。申請者の研究グループではこれまでに大環状フェナントロリン-銅錯体がアルキンの酸化的二量化反応において触媒活性を示すことを利用し、[2]ロタキサンが生成することを見いだしている。本手法は非常に汎用性が高く、[2]ロタキサンだけではなくより複雑な構造を持ったインターロック化合物の合成が可能である、と予想された。そこでこの知見を活用し、軸コンポーネント2つからなる[3]ロタキサンを合成について検討を行った。具体的には酸化的二量化反応を2回繰り返すことにより、[3]ロタキサンを合成することに成功した。また、その構造に関してもNMRスペクトルをはじめとして様々な手法により明らかとした。 次に、[3]ロタキサンの合成にあたり、どのような構造、あるいは反応条件が重要であるかについて詳細な検討を行った。その結果、出発原料となる大環状フェナントロリンー銅錯体の環サイズの大きさが[3]ロタキサンの合成にあたり非常に重要であり、環サイズが小さい場合には[3]ロタキサンの生成は見られず、[2]ロタキサンのみが生成することを明らかにした。一方、環サイズが大きい場合には[3]ロタキサンが生成することを明らかにした。本研究は環サイズと[3]ロタキサンの収率の関係について詳細な検討を行った初めての例となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において、本年度は軸コンポーネントを2つ含む[3]ロタキサンの合成を目標として研究をすすめることとしていた。本計画に関しては論文発表まで行うことができ、当初の計画に沿った形で研究が進展している。また、新規大環状金属錯体についても一定の進展が見られたことから、おおむね本研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の計画に沿い、当研究室で開発したロタキサンの合成手法、ならびに既に他の研究グループにより開発されているインターロック化合物の合成手法を組み合わせることによるヘテロ[3]ロタキサン、ならびに高次ロタキサンの合成を進める。また、キラルなインターロック化合物の合成についても検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
当初予定した金額よりも若干低額で購入可能な試薬があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の試薬の購入に使用する。
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Research Products
(15 results)