2014 Fiscal Year Research-status Report
エナンチオ選択的分離と触媒に適したホモキラル多孔性金属-有機構造体の創出
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26410126
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田中 耕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10116949)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キラルMOF / 単結晶X線解析 / ナノ細孔 / 触媒反応場 / 不斉反応 / アミノリシス反応 / 反応性-選択性の原理 / エナンチオ選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラルなビナフチル骨格を持つ各種の有機配位子を合成し、キラル有機配位子と各種の金属イオンとの配位結合形成を利用して様々な空孔サイズを有するキラルMOFを構築することに成功した。こうして得られたキラルMOFの内いくつかのMOFについて、三次元構造を単結晶X線解析法により明らかにすることができた。また、粉末X線解析、熱分析(TG)、赤外スペクトル、固体CDスペクトルなどの測定を通して、MOFの詳細なキャラクタリゼーションを行った。こうして合成したキラルMOFのナノ細孔を反応場として活用する不斉選択的な有機合成反応を検討した。具体的には、キラルMOF触媒によるトランス-スチルベンオキシドのアニリン誘導体によるアミノリシス反応を検討した結果、反応温度が高いほど生成物のアミノアルコールの光学純度(ee)が上昇するという極めて興味深い結果を得た。これは、有機化学の常識である「反応性-選択性の原理」に反する画期的な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
キラルMOFのナノ細孔を反応場として活用するトランス-スチルベンオキシドのアニリン誘導体によるアミノリシス反応を検討した結果、反応温度が高いほど生成物のアミノアルコールの光学純度(ee)が大きく上昇するという結果を得た。これは、有機化学の常識である「反応性-選択性の原理」に反する極めて興味深く画期的な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きキラルMOFのナノ細孔を反応場として活用する広範な不斉選択的触媒反応の検討を進める。特に、光学純度(ee)に及ぼす反応温度の常識に反する特異な効果について詳細に検討を行う。さらに、キラル細孔構造を持つ種々の新規MOF結晶を固定相に用いて高速液体クロマトグラフ用のキラル分離カラムを多数調製し、これを用いて各種の光学異性体の高効率な分離法を開発する。
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