2015 Fiscal Year Research-status Report
エナンチオ選択的分離と触媒に適したホモキラル多孔性金属-有機構造体の創出
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26410126
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田中 耕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10116949)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キラルMOF / 不斉開環反応 / 触媒 / エナンチオマー分離 / 不斉選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)キラルMOFを触媒に用いた不斉有機合成反応の開拓を目的として本年度は以下の研究を実施した。まず、アニリン誘導体によるcis-スチルベンオキシドの不斉開環反応を検討したところ、反応温度を上げるほど生成物であるアミノアルコールの光学純度が向上するという興味深い結果が得られた。cis-スチルベンオキシドとN-メチルアニリンを触媒量の(R)-CuMOF-1存在下、MeOH 中20 ℃で48 時間反応させると、2 % ee の(1S, 2S)-4b が収率1%で得られた。これに対して、80 °C で48 時間反応させると64 %ee の(1S, 2S)-4b が収率58 %で得られるという極めて興味深い結果が得られた。また、反応溶媒を2-PrOH に替えると、エナンチオ選択性が逆転して(1R, 2R)-4b が得られることがわかった。 (2)(R)-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフタレン-4,4'-ジ安息香酸(a)及び(R)-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフタレン-4,4'-ジ安息香酸(b)を合成して新規ホモキラルMOF合成を行い、その結晶構造を明らかにするとともに、これらのホモキラルMOFをキラル固定相に用いたHPLCカラムによるエナンチオマー分離を検討した。MOF骨格に水酸基を持ち三次元ジャングルジム状の(R)-CuMOF(a)カラムではこれらのスルホキシド類に対して良好な分離能を示した。また、いずれの場合もS-体がR-体よりも先に溶出する。これに対して、MOF骨格にMeO基を持ち二次元層状構造の(R)-CuMOF(b)では全く分離能を示さないことがわかった。また、(R)-CuMOF(a)カラムによるスルホキシド類のエナンチオマー分離においては、o-置換スルホキシドの方がp-置換スルホキシドよりも高い分離能を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
キラルMOFを触媒に用いた不斉有機合成反応の研究に於いて、反応温度を上昇させる程、光学純度が顕著に上昇するという、反応性と選択性の原理に反する予想外の発見があった。 また、新しいキラルMOFを合成しHPLCキラルカラムによる光学異性体分離への応用に関して新たな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)キラルMOFを触媒に用いた不斉有機合成反応の研究 各種ジエンとジエノフィルを用いる不斉Diels-Alder反応の研究を行う。
(2)新しいキラルMOFを合成し、HPLCキラルカラムによる光学異性体分離への応用に関して更なる展開を計る。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入額が予定よりも24円少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.キラルMOF合成のための試薬購入に使用する。 2.キラルMOFを用いた有機反応の分析に必要となる試薬購入に使用する。
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