2014 Fiscal Year Research-status Report
スピンコート成膜プロセスにおける有機高分子薄膜の活性界面形成キネティクス
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26410135
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 園 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40304745)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピンコート法 / 有機高分子薄膜 / 結晶化速度 / 放射光 / すれすれ入射X線散乱法 / ポリアルキルチオフェン(P3AT) / フラーレン誘導体(FD) / 臨界表面張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、スピンコート成膜実験に特化した放射光GIXSその場時間分解測定法を構築した。実験には、大型放射光施設SPring-8の理化学研究所専用ビームライン、BL45XUを利用した。すれすれ入射X線散乱(Grazing-Incidence X-ray Scattering:GIXS)測定システムにX線マイクロビーム集光技術を組み入れた。 有機高分子モデル薄膜として、導電性ポリマーであるポリアルキルチオフェン(P3AT)とフラーレン誘導体(FD)のブレンド薄膜を用いた。基板としてはシリコンウエハーを用いた。P3AT:FD(1:1 w/w)ブレンドのクロロベンゼン溶液を用いた薄膜形成過程を波長が0.1nmの高輝度X線を利用した時間分解GIXS測定で追跡した。室温は294K、He雰囲気下、回転速度は1500 rpmの条件での成膜により、膜厚が約30 nmのブレンド薄膜を成膜した。スピンコート成膜初期過程で検出したP3AT結晶の(100)反射の強度増大を最小二乗法で直線近似し、その傾きを結晶化速度として評価した。その結果、P3ATの結晶化速度は、FDのアルキル側鎖(エステル基を含む)がP3ATのアルキル側鎖より炭素数で2-3個長い組み合わせで最も高くなることが判った。このことから、成膜初期過程のP3ATの結晶化速度は、P3ATとFDの側鎖間の自己組織化が効率よく起こる系で高くなることが示唆された。一方、P3ATとFDの臨界表面張力から両者の相分離傾向を調べたところ、相対的に相分離傾向が強い組み合わせが必ずしもP3ATの結晶化速度が高いとは言えず、両者に強い相関性がないことが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成26年度の研究計画はほぼ実施したため、現段階では研究の目的はほぼ達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は以下のことを実施する予定である。 ①平成27年4月、運送業者の車両追突事故により、放射光実験用に特別に設計・製作した小型スピンコーターが破損した。本研究テーマを実施するために、新たなスピンコーターを設計・製作する予定である。②これまでに測定したGIXSデータを詳細に解析し、P3AT:FDブレンドの結晶化挙動を検討する。③P3ATの結晶化挙動に対する溶媒の影響や遠心力の影響を検討する。④P3ATの結晶化挙動とP3ATとFDの相分離挙動の相関性を検討する。⑤平成26年度の研究成果を論文にまとめる。
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Research Products
(6 results)