2014 Fiscal Year Research-status Report
超臨界二酸化炭素/水二相系における圧力変化による界面反応制御に関する研究
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26410143
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大橋 朗 茨城大学, 理学部, 准教授 (50344833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 界面化学 / 吸着 / 会合 / 反射分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アニオン性ポルフィリンTPPSとカチオン界面活性剤CTACを含む水相と超臨界二酸化炭素相が接する界面において生成する化学種に、外部場(圧力・温度)が及ぼす影響について検討を行った。屈折率の小さい超臨界二酸化炭素相側から光を入射する外部反射法を用いることで、超臨界二酸化炭素/水界面に存在する化学種の直接分光測定に初めて成功した。TPPSは、超臨界二酸化炭素/水界面においてCTACとイオン対を形成し、界面に存在する。圧力を変化させながら界面化学種の外部反射分光測定を行った結果、超臨界二酸化炭素/水界面では、低圧力領域ではTPPSの単量体が吸着し、高圧力領域ではTPPSの会合体が生成することを見出した。これは、界面に吸着するCTAC量が、圧力が上昇するにつれて大きくなり、それに伴い、界面のTPPS濃度が増加したためであることを界面張力測定の結果より明らかにした。また、偏光を用いた測定を行うことで界面化学種の配向に関する知見も得ることができた。配向性の圧力による変化は見られなかった。本研究で得られた結果は、超臨界二酸化炭素/水界面に生成する化学種が圧力によって変化することを直接測定で明らかにした初めての研究である。また、超臨界二酸化炭素/水界面に生成する化学種を外部場(圧力・温度)により制御できることを示しており、超臨界二酸化炭素/水界面が、従来の反応場と異なる特異的な反応場であることを示す非常に興味深い結果である。さらに研究を進めることで、反応場としての性質がより明らかになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外部反射分光法を用いた超臨界二酸化炭素/水界面化学種を直接分光測定できる装置の開発に成功した。この装置を用いた測定により、超臨界二酸化炭素/水界面に生成する化学種が圧力によって変化することを明らかにした。超臨界二酸化炭素/水界面が外部場により制御可能な特異的反応場であることを明らかにするという、本研究の目的を達成することができた。得られた研究結果は、分析化学分野で最も権威のある”Analytical Chemistry”誌に掲載された。研究は、当初の計画通り進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した外部反射分光法による測定装置に改良を加え、水相側から光を入射して測定する全内部反射分光法による超臨界二酸化炭素/水界面測定装置を開発する。また、水/超臨界二酸化炭素マイクロエマルション系における研究も行い、マイクロエマルション内水相における界面と超臨界二酸化炭素/水界面の性質を比較検討する。これらの結果を、有機溶媒水系の結果と比較し、超臨界二酸化炭素/水界面の反応場としての特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
耐圧性のバルブや液化炭酸ガスなどの高額消耗品の購入費として見込んでいた予算が、若干余ってしまった。そのため次年度使用額として1,809円生じてしまったが、おおむね計画通りの予算執行を行った。研究はあと2年継続するものであり、不必要なものを購入するよりは、今年度の予算と合わせて、今後必要になるバルブや液化炭酸ガスなどの消耗品を購入するのにあてたほうがよいと考えたため、残予算が生じる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1,809円と少額であるので、今年度予算と合わせて比較的高額なバルブや液化炭酸ガスなどの消耗品の購入費としてあてる予定である。
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Research Products
(4 results)