2015 Fiscal Year Research-status Report
生体由来高親水性化合物の超高性能分離のためのHPLC用カラムの開発
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26410151
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
池上 亨 京都工芸繊維大学, その他部局等, 准教授 (20301252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 親水性相互作用クロマトグラフィー / 親水性ポリマー / 重合修飾 / 分離性能 / シリカモノリス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)シリカの表面修飾に用いる重合反応の最適化と分離性能の関係の調査 親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)の分離媒体の性能向上のため、以下の検討を行った。シリカ上で、テトラゾールを含むメタクリルモノマーを重合修飾することによって、従来の市販品をはるかに上回る親水性の保持を発現することに成功した。平成27年度は、この重合条件の微調整を行ない、飛躍的に保持が大きくなるラジカル重合開始剤の濃度が存在することを見出した。米国を始めとする国際特許として出願した。
(2)HILICとキラル分離を同時に実現するカラムの調製 HILIC 型固定相にキラル分離能を付与するため、システインまたはグルタチオン(GSH)含有ポリマーを修飾したシリカ粒子を調製した。これらの固定相表面は共に中性(市販の双性イオン型の固定相に近い)を示した。ウリジンの保持によるその親水性の評価では、Cys でk(U) = 3.02、GSH でk(U) = 4.37 が得られた。特にGSH の親水性は、測定した市販のHILIC 型固定相の中では2番目に大きな値であった。グルコース、フルクトース、アラビノースのエナンチオマーを分離したところ、GSH のカラムではグルコースのα(D/L)値が1.02 となった。今後カラムの分離性能を向上すれば、この固定相でグルコースの光学分割が可能であると考えられる。
(3)理論段高5–10ミクロンの極性化合物分離用のカラムの調製 テトラゾールを含有するシリル化剤を開発したところ、これを用いた化学修飾は、一般的なシリル化剤修飾型固定相とは異なり、厚い水の相を形成するシリカ粒子の調製に向いていることが明らかになった。シリル化剤型の修飾は、分配平衡が速いことが期待されるため、微小粒子の化学修飾に向いていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子鎖の分子量とシリカ上の親水性層の厚みの間には、ある関係があり、分子量5万程度のポリマーより小さい高分子鎖では十分な親水性の保持は発現しにくいことが明らかになりつつある。重合修飾の条件下において、ポリマーの洗浄が困難になったり、粘度の上昇によって重合反応自体が進行しにくくなったりすることで、この閾値である分子量に達するまでに重合が止まってしまうことが問題であることが示された。今後は、モノマーによっては、この問題を回避する方向へ修飾方法を変更する必要がある。 微小粒子を用いた速い分離のための固定層としては、ポリマー修飾は不向きである。一方で、シリル化剤による化学修飾では十分な親水性を付与できないという問題があった。テトラゾールを含有するシリル化剤は、シリル化剤修飾型としては異例の親水層の厚みを提供することができるようである。これで、微小粒子の修飾法の問題が解決できるのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が提案したカラムテスト法は、二次元にカラムの選択性をプロットすることで、親水層の厚みとカラム表面の酸性―塩基性の程度を一度に表現できる。 市販のカラムのグループ化を行ない、まだ発表されていないタイプの固定層がどのようなものであるか、調査することができた。今後は、まだ報告例がない、または少ないタイプの固定層を重点的に開発する予定である。 HILICとキラル分離の両立は、大変興味深い結果を与えたが、より一層糖類の識別能力を向上するため、新しい化学修飾を検討中である。
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Research Products
(5 results)