2015 Fiscal Year Research-status Report
PM2.5大気粉塵のリアルタイムモニタリングによる発生源の解明
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26410160
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
古田 直紀 中央大学, 理工学部, 教授 (90101055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 隆 中央大学, 理工学部, 助教 (10709687) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境分析 / 大気粉塵PM1.0 / ICPMS直接導入 / リアルタイムモニタリング / 発生源解明 / フィルター捕集 / プラズマ中の気化・原子化・イオン化 / 回収率 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、1 μm以下の大気粉塵PM1.0を誘導結合プラズマ質量分析計に直接導入することによりリアルタイムモニタリングを2015年4月27日から30日、8月3日から6日、11月16日から18日に行った。季節変化よりも、風向に大きく影響していた。特にリアルタイムモニタリングを行った2015年4月27日から30日は、主に南風が吹いており、VとNiが同じ挙動を示した。この結果は、サンプリング地点(中央大学)の南の方向に位置する京葉工業地帯で使用されている重油の燃焼による影響であると考えられる。リアルタイムモニタリングを行うと同時に、大気粉塵を、孔径0.025 μmのニトロセルロースフィルターに捕集し、フィルターごと酸分解して得られた大気粉塵中元素濃度(フィルター捕集データ)を求めた。リアルタイムモニタリングで得られた大気粉塵中の元素濃度(リアルタイムデータ)を、フィルター捕集データで割り算をし、回収率を求めた。その結果、気化し易い元素の回収率は100%以上となり、気化しにくい元素の回収率は100%以下となった。回収率が100%以下となったのは、プラズマ中で完全に気化・原子化・イオン化されていないことが原因だと考えられる。一方、回収率が100%以上となったのは、小さな粒径の大気粉塵がフィルター上に捕集されないことが原因だと考えられる。
これらの実験結果は、2016年1月に米国 Tucsonで開催された2016 Winter Conference on Plasma Spectrochemistryで口頭発表を行った。
発表タイトル: “Real time monitoring of multi-elements concentration in airborne nano-particles (ANPs) by direct introduction into ICPMS”
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマ中で導入する大気粉塵の粒径を1 μm以下(PM1.0)に制限し、リアルタイムモニタリングを2015年4月27日から30日(3日間)、8月3日から6日(3日間)、11月16日から18日(2日間)に行い、結果は研究室のホームページ(http://envsun.chem.chuo-u.ac.jp/realtime.pdf)で公開している。リアルタイムモニタリングを行うと同時に、大気粉塵を孔径0.025 μmのニトロセルロースフィルターに捕集し、フィルターごと酸分解して得られた大気粉塵中元素濃度(フィルター捕集データ)を求めた。リアルタイムモニタリングで得られた大気粉塵中の元素濃度(リアルタイムデータ)を、フィルター捕集データで割り算をし、回収率を求めた。その結果、気化し易い元素の回収率は100%以上となり、気化しにくい元素の回収率は100%以下となった。
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Strategy for Future Research Activity |
回収率が100%以下となった元素は、プラズマ中で完全に気化・原子化・イオン化されていないことが考えられる。一方、回収率が100%以上となった元素は、フィルターの孔径よりも小さな大気粉塵に濃縮しており、その大気粉塵がフィルター上に捕集されていないことが原因だと考えられる。このことを実験で実証する予定である。
これらの実験結果は、2016年7月19日から22日にドイツ ハンブルグで開催されるISEAC 39 (39th International Symposium on Environmental Analytical Chemistry)で口頭発表を行う予定である。
発表タイトル: “Long term and real time monitoring of multi-elements concentration in airborne particulates”
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Causes of Carryover |
PM1.0の大気粉塵をICPMSに直接導入し、多元素(Na, Mg, Al, K, Ca, Fe, Ti, V, Cr, Mn, Co, Ni, Cu, Zn, As, Se, Mo, Cd, Sb, Ba, Pb)のリアルタイムモニタリングを春(4月)夏(8月)秋(9月)と実施したが、リアルタイムモニタリングデータをフィルター捕集データで割り算した回収率が100%にならないことに気が付き、大気粉塵の代わりに、ガラスをレーザーアブレーションして得られたアブレート粒子に対してリアルタイムモニタリングを行った。モニタリングしている全ての元素に対して、回収率を100%にする方策を立てることが先であると考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開発したリアルタイムモニタリングシステムを用い、大気粉塵の代わりに、組成が均一なガラスをレーザーアブレーションして生成される粒子を測定する。そして、気化し易い元素の回収率が100%以上になる原因が、気化し易い元素が濃縮している小さい粒子がフィルター上に捕集されていない為であることを実証する。ガス粒子化装置を用いたり、フィルターの孔径を小さくすることにより、気化し易い元素の回収率を改善し、一方、プラズマの温度を高めたり、粒子のプラズマ中滞在時間を長くすることにより、気化しにくい元素の回収率を改善する。回収率の改善を図り、最終的に冬(12月)のリアルタイムモニタリングを実施する。
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] Effects of selenium deficiency on proteins containing essential trace elements of Mn, Fe, Cu, Zn, and Se in Brain of mice2015
Author(s)
T. Abiko, K. Kobayashi, T. Nakazawa, T. Matsukawa, Y. Matsumoto-Omori, A. Shinohara, N. Furuta
Organizer
The 5th International symposium on Metallomics
Place of Presentation
Beijing, China
Year and Date
2015-09-10 – 2015-09-11
Int'l Joint Research
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