2016 Fiscal Year Annual Research Report
Spectroscopic analysis of spatiotemporal evolutions of Liesegang bands by time-resolved X-ray fluorescence imaging
Project/Area Number |
26410163
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
林 久史 日本女子大学, 理学部, 教授 (60250833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リーゼガングバンド / プルシアンブルー類似体 / 時間分解・蛍光X線測定 / 位置分解・XANES測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
難溶性塩を形成するアニオンとカチオンを湿潤ゲル中で分散させると、イオンがゲル中をゆっくり拡散し、再結晶がおこる。イオンの濃度やゲルの種類などの条件を整えると、微細な結晶粒のバンドが、離散的に出現することもある。このようなバンドをリーゼガングバンドという。本研究は、こうしたリーゼガングバンド形成の研究を視野に入れながら、これまで研究例のない「イオンを含むゲル中の元素分布やその時間変化」を追跡できるような、実験室用の時間分解・蛍光X線イメージングシステムの開発を目指すものである。 平成28年度は、前年度までに装置本体・方法論ともに完成させた蛍光X線イメージングシステムを用いて、ゲル中でのイオン分布の時分割測定に挑戦した。今年度、主に対象とした系は、近年、新たな磁性材料かつ電極材料として注目されているプルシアンブルー類似体であった。この系のゲル中での着色現象についての報告例はこれまでなかったが、本研究により、はじめてMn-Fe(CN)6系がリーゼガングバンドを生み出すことを見いだし、そのイオン分布の時間変化を完全に追跡できた。さらに、十分熟成した試料について、放射光施設(PF・BL9C)でX線吸収測定を行い、ゲル内に生成している化学種についての知見を得た。さらに、こうしたMn-Fe(CN)6系のリーゼガングバンドがゲルの状態によってどう変化するかも調べた。類似の研究をCo-Fe(CN)6系にも展開し、興味ある知見を得た。これらの成果は、ただちにイギリス化学会や日本化学会の専門雑誌に論文発表した。
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