2015 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性菌の高確度検出を目指した抗体ナノ粒子プローブ-反応熱分解分析法の高性能化
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26410164
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
石田 康行 中部大学, 応用生物学部, 教授 (70273266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 久美子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30335054)
堤内 要 中部大学, 応用生物学部, 教授 (50329851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオ分析 / 細菌の精密化学計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に開発したアタッチメント式抗体磁性ビーズプローブを、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)と連結した手法を利用して、消毒薬耐性菌の迅速判別を試みた。ここでは、近年、病院感染源として重要視されているトリクロサン耐性菌に注目して、その簡便かつ迅速な検出法の開発を目指した。まず、水素細菌と大腸菌の混合系から大腸菌を選択捕集するためにプローブ捕集条件の最適化を行った。その結果、37℃下で20分間捕集を行って得られたプローブ‐大腸菌試料のMALDI質量スペクトル上には、大腸菌に由来するリン脂質ピークしか検出されず、当該条件が大腸菌の選択捕集に最適であることが分かった。なお、これらのリン脂質ピークはアシル基の総炭素数が30から36個、また二重結合数が0から2個までの一連のホスファチジルエタノールアミン(PE)およびホスファチジルグリセロール(PG)類であると同定された。そこで、この手法を消毒薬耐性菌に応用したところ、通常菌と耐性菌では、同じ種類のリン脂質が共通して観測された。しかし、これらのリン脂質の分布は大腸菌における消毒薬(トリクロサン)耐性の有無によって微妙に変化しており、それらの相対強度データを基にして多変量解析による統計処理を行うことで、消毒薬耐性を備えた大腸菌を迅速かつ簡便に検出することも可能になった。以上のように、本実験の実施により、細菌の混合系から所望する菌種のみを選択的に捕集回収し、その消毒薬耐性の有無を迅速かつ簡便に判別することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画の内容をほぼ達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したアタッチメント式抗体磁性ビーズプローブを、反応熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(反応熱分解GC/MS)と組み合わせた分析技法を構築する。この新計測技法を利用して、1) 細菌混合系から特定の細菌種を捕集し、2) その細菌中に含まれる脂肪酸成分の高感度な組成分析を行うことを目指す。こうして得られた脂肪酸組成データを基にして、消毒薬耐性菌を通常菌からはっきりと迅速識別することを試みる。さらに、薬剤耐性菌における細胞膜脂肪酸の構造や存在比の情報と、耐性作用の強さとの相関をコンピュータ支援されたバイオインフォマティックスの手法を活用して多変量解析する。この統計解析を多種類の菌種にわたって系統的に行うことにより、細菌のおける耐性作用の発現メカニズムを細胞膜脂質の構造の観点から解明する。
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Causes of Carryover |
消耗品の値引きにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品購入にあてる。
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Research Products
(8 results)