2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体における特異的液-液界面創出現象の解明と新規分析システムへの応用
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26410165
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
塚越 一彦 同志社大学, 理工学部, 教授 (60227361)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロ流体 / 液液界面 / 相分離混合溶液 / 管径方向分配現象 / キャピラリークロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
「管径方向分配現象(TRDP)」を様々なマイクロ流路で確認し、その将来性と有効性を調べた。水-親水性/疎水性有機溶媒三成分混合溶液(蛍光色素含有)を使って得られた蛇行マイクロチャネル内でのTRDP蛍光画像を観測し、水-親水性/疎水性有機溶媒の三成分混合溶液以外の混合溶液を使って、TRDPの創出を試み、TRDP発生メカニズムを様々な視点から調べた。具体的な混合溶液として、水ー界面活性剤混合溶液、水ーイオン性液体混合溶液、有機溶媒/フルオラス溶媒混合溶液等を取り上げた。水ー界面活性剤混合溶液を使った場合のTRDP創出について調べた。まず、界面活性剤(トリトンX-100)の各濃度水溶液において、25℃(均一一相)から34℃(不均一二相)に相変化させた時の上層/下層体積比を調べた。次に各水–界面活性剤混合溶液(蛍光色素含有)をキャピラリーチューブに送液し、チューブを34℃に温度調整した。蛍光顕微鏡-CCDカメラを使って、チューブ内のTRDP創出を観察した。他の混合溶媒についても蛍光顕微鏡-CCDカメラを使って、TRDP蛍光画像観察を試みた。 TRDP発生時の2相(inner phaseとouter phase)について、それぞれの粘度を調べた。2相間の粘度比が大きいものでは、体積比に関わらず、粘度が大きい相がinner phaseを形成し、2相間の粘度比に差がないものでは、体積比が大きい相がinner phaseを形成する傾向が見いだされた。他の混合溶液についても、粘度、表面張力、接触角等を測定しながら、TRDP発生メカニズムを調べた。コンピュータシミュレーションおよび計算化学からの考察も深めていく方向性を見いだせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な相分離混合液体(水-親水性/疎水性有機溶媒の三成分混合溶液、水ー界面活性剤混合溶液、水ーイオン性液体混合溶液、有機溶媒/フルオラス溶媒混合溶液等)をマイクロ空間に送液し、マイクロ空間内で温度、圧力の変化によって相分離を起こさせ、管径方向分配現象を観察することができた。このことは、我々が提唱していた管径方向分配現象の発生メカニズムを強く支持し、今後の応用技術への展開の実現性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
管径方向分配クロマトグラフィー(TRDC)のマイクロチップ化、すなわち、マイクロチップ-TRDCの開発を試みる。モデル試料(イソルミノールイソチオシアナート(ILITC)標識生体成分)をTRDCの原理に従って分離し、化学発光で検出する。マイクロチップ-TRDC-化学発光検出システムは、高圧電源、特殊なチャネル加工、光源、分光器等を必要としない。μ-Total Analysis System (μ-TAS)の概念によく一致する分析手法の一つになり得る。 管径方向分配現象(TRDP)に基づいたマイクロチップ-マイクロフロー抽出を検討する。水-親水性/疎水性有機溶媒三成分混合溶液と三流路分岐マイクロチャネルを使用する。有機溶媒過剰の均一溶液に、ペリレンとエオシンYを溶解し、マイクロチャネルに送液してTRDPを観察した。それら蛍光色素がチャネル内で、分配、抽出されることがわかっっている。次に種々の金属イオンと抽出剤を溶解し、同様の操作を行う。微小空間内で創出される動的液-液界面、すなわちTRDPを使ったマイクロフロー抽出法の有効性、将来性を検証する。
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Research Products
(3 results)