2014 Fiscal Year Research-status Report
高い時間分解能を持つPM2.5中の無機元素分析技術の開発
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26410169
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
朱 彦北 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (90422790)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PM2.5 / 高感度 / 時間分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大気中の微小粒子状物質(PM2.5)の多元素同時測定において、高い分析感度を有する分析技術を確立し、短時間の試料採取(従来24時間、目標1時間)で分析が実現できる高い時間分解能(従来経日変化、目標経時変化)を持つ分析法の開発とその普及を目指している。本助成金の研究期間中では、高い分析感度(大気中の金属検出能力:従来約50 ng/m3、目標1 ng/m3以下)を有する分析技術の新規開発とその有効性検証を目的とした。開発される技術では、従来法の一環である酸分解を必要せず、無機元素をオンライン溶出し分析することによって、分析時間を短縮し(従来4時間以上、目標10分以内)、高い時間分解能を確保することとした。 本年度は、高い時間分解能を有するPM2.5の新規分析技術であるチューブ状フィルターによる試料捕集・オンライン溶出/ICP-MS分析法について基礎検討を行った。従来技術では、試料を広い面積の平面状フィルターに捕集され、酸分解による試料中の無機元素の回収が必要であったが、新規開発技術では、狭い断面積を有するチューブ状フィルターに捕集し、酸分解せずに溶出液で無機元素の回収が可能であることを確認した。 実験では、チューブ状フィルター設計の最適化、オンライ溶出の溶出条件の最適化、およびオンライン溶出/ICP-MSによる定量法の検討を行った。本研究で試作したチューブ状フィルターを用いて、実験室のPM2.5を捕集し、オンライン溶出/ICP-MS法による元素分析を行った。 実験の結果、本法は適切な溶出液を用いて、チューブ状フィルターに捕集されたPM2.5を定量的に溶出でき、10分以内で一つの試料の分析ができることを確認した。従来の酸分解後分析法より分析時間の大幅の短縮できることを確認できた。これまでの進展を考慮し、次年度以降の研究の円滑な進展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定の実施項目が円滑に遂行し、次年度の研究(分析法の有効性確認および応用研究)に向けた準備も整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果に基づき、従来法の分析結果との比較による新規開発技術の有効性確認(H27年度を中心に)および新規開発技術の応用研究(H28年度を中心に)を展開する。また、本研究の成果発表と共に、成果の社会への還元として開発品の製品化や分析法の標準化を検討する。
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Causes of Carryover |
研究発表1件が次年度に予定しているため、その分の旅費を次年度に繰り越すことになった。また、一部の特注消耗品は在庫がないため、次年度に調達する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度繰り越し分の253507円分と新年度請求予定分を合わせ、次年度の研究に予定している新規分析法の有効性確認および関連成果発表(論文投稿および学会発表)に取り組み、本研究のスムーズな進展を確保する。繰り越し分は当初予定の研究成果発表のための学会参加の旅費および論文投稿用追加試験用の消耗品調達に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)