2014 Fiscal Year Research-status Report
反応性核酸を用いた部位特異的リジン残基ラクタム化による蛋白質への機能導入
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26410181
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
麻生 真理子 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30201891)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 核酸関連化学 / 核酸 / 蛋白質修飾 / リジン / ラクタム |
Outline of Annual Research Achievements |
蛋白質機能研究に有用な蛍光性ベンゼン縮環型ラクタムの合成と評価;ジメトキシ置換体の窒素置換基の蛍光強度に与える影響の評価を行った。窒素の置換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシへキシルの化合物ではほぼ同じ蛍光強度、波長を示し、アセトキシエチルの化合物では、蛍光が弱くなることがわかった。溶媒の極性に依存し蛍光強度、波長が変化することを期待して合成したジメチルアミノ置換体ではジメトキシ体と比較して、メタノール/緩衝液混合溶媒中で長波長側に蛍光極大波長が移動し、塩化メチレン中では60 nm低波長側に移動するなど、OFF-ON型で、期待通りの物性を示す誘導体の合成に成功した。 リジン修飾核酸を用いたDNA複製開始蛋白質の部位特異的リジン残基修飾;リジン修飾核酸(1)による蛋白質修飾はすでに確認していた。修飾効率向上を目指し、塩濃度等反応条件を検討したところ、50%から65%程度に向上した。反応性部位の位置、構造を変化させたリジン修飾核酸を合成し、修飾効率向上を検討している。ラクタム構造の確認ではチオール側鎖をもつビオチンを用いた修飾蛋白質の単離、構造決定を計画していたが、修飾蛋白質がチオールと反応しないことが示唆された。近傍に存在するシステイン残基と既に反応したのではないかと推測している。弱塩基性条件、酸化条件でのラクタム構造の再生を検討しており、再生ができれば、ラクタム構造の確認を行う。ベンゼン環が縮環したリジン修飾核酸はリン酸トリエステル型、リン酸ジエステル型の合成に成功し、蛋白質修飾を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛋白質機能研究に有用な蛍光性ベンゼン縮環型ラクタムの合成と評価;ジメトキシ基、ジメチルアミノ基を導入した誘導体について合成、評価が終わり、目的としていた溶媒の極性に依存し蛍光強度、波長が変化する化合物の創出に成功した。27年度以降に計画していた、ジメトキシ基を持つ蛍光性ラクタムを生成する反応性オリゴデオキシヌクレオチドの合成も成功し、順調に研究が進行していると考えている。リジン修飾核酸を用いたDNA複製開始蛋白質の部位特異的リジン残基修飾については反応効率の改善に成功した。ラクタム構造の構造決定は現在進行中の課題として努力している。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の研究は概ねスケジュール通り達成することができたので、27年度以降もスケジュールに従って以下の様に推進する。ラクタム化蛋白質の構造決定:ラクタム化蛋白質特有の反応性として注目していたチオール類の反応が、蛋白質内の近接するシステイン残基とで進行するという予想外の結果から、当初計画していた構造決定方法が採用できなかったが、ラクタム再生の方法を検討中であり、構造決定を進める。 生体分子応用可能なラクタムの官能基特異的反応;ニトリルオキシドとの反応に加えて、光条件下発生させるニトリルイミンとの1,3-双極子反応、テトラジンとのDiels-Alder 反応など進行が期待できる反応を検討する。 ラクタム化蛋白質の物性、反応性検討;ベンゼン環が縮環したリジン修飾核酸(2)の合成に成功しており、蛋白質の修飾、構造決定を行う。その後、ラクタム化蛋白質の1,3-双極子反応などを検討する。また蛋白質修飾により蛍光性のラクタムを形成するリジン修飾核酸も同様に合成が可能であり、蛋白質の修飾、修飾蛋白質の蛍光検出を行う。
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Research Products
(8 results)