2015 Fiscal Year Research-status Report
2次元クロマトグラフィーと超高感度アミノ酸分析による翻訳後修飾の絶対定量法の研究
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26410190
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
益田 晶子 国立研究開発法人 海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (10322679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂前 直 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (00321787)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 固体酸触媒 / 加水分解 / タンパク質 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)で分離したサンプルをポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜に電気的にブロッティングして膜上に転写したものを分析するための膜状固体酸触媒の作成と評価を行った。膜状の固体酸触媒とするため、PVDF 膜を基材とし官能基を導入した。官能基は同じフッ素系のポリマーであるスルホン化ポリマーをPVDF膜に積層することで導入した。膜に対するスルホン化ポリマーの量や積層方法について加水分解効率が最大になるよう最適化を行った。また加水分解後のアミノ酸溶出方法についても、pHを振って検討を行った結果、pH8-9程度の塩基性緩衝溶液で効率よくアミノ酸が回収できることを見いだした。 作成した膜状固体酸触媒に、まずタンパク溶液をドットブロットすることでサンプルを添加し加水分解を行った。その結果、10pmol程度のタンパク量で十分に定量的に加水分解が行えることがわかった。そこで、SDS-PAGEゲルから電気的にブロッティングしたタンパク質バンドを切り出し、スルホン化ポリマーを積層し加水分解を行った。その結果、1バンドあたり1.5pmolから20pmol程度のタンパク質で、従来法の塩酸法と同等のアミノ酸組成を得ることができた。また得られたアミノ酸組成からタンパク質データベースを検索することでタンパク質の同定も可能だった。 また、溶液用の固体酸触媒では耐熱性が低いために、反応温度を上げることができなかったが、膜状固体酸触媒では150℃まで温度をあげることができるため、加水分解時間を従来の塩酸法の20時間から2時間に短縮できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気泳動で分離したタンパクに応用するために膜状の固体酸触媒を作成し、性能評価を完了し、従来の塩酸法と同等のタンパク質加水分解条件を確立するとともに、液体サンプル用の固体酸触媒より1/10の時間で加水分解が完了できるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
膜状固体酸触媒について、細胞から抽出したタンパク混合物の実サンプルを用いて加水分解を行う。また固体酸触媒等で加水分解したタンパク質に含まれる翻訳後修飾アミノ酸を精度良く定量するため、2次元クロマトグラフィー法を確立する。 本研究の成果について論文投稿する。
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Causes of Carryover |
膜状固体酸触媒の開発を優先させたため、当初予定していた設備備品を購入しなかったため。また学会参加旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度からの繰越予算も合わせ、予定していた消耗品および前年度購入しなかった設備備品を揃え、クロマトグラフィーの2次元化を行う。また、研究成果を発表するため、英文校閲代、投稿料、参加登録料等に予算を使用する。
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Research Products
(2 results)