2014 Fiscal Year Research-status Report
医薬品類由来の高毒性化したハロゲン化有機物がもたらす生物相汚染の究明
Project/Area Number |
26410195
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
寺崎 正紀 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (10363904)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 生物試料 / 微量分析 / 有機塩素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめにパラベンとその塩素化体の魚類中濃度を計測する分析法を検討した。魚肉(Oncorhynchus keta)をホモジナイズ後、18物質およびサロゲート(プロピルパラベン-d4)を添加した。Freezing-lipid filtration法(-24℃)により脂質を除去後、Silica固定相にてclean-upした抽出物をガスクロマトグラフー質量分析計で定量した。なお、試験に用いた魚肉試料の脂質割合は1.8±0.12%(n=5)であった。Silica固定相の溶出溶媒を検討したところ、パラベンおよび塩素化パラベンはヘキサン/アセトン=9/1(v/v)画分に溶出した。エステル側鎖にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を有する12物質は、サロゲート(プロピルパラベン-d4)で補正した添加回収率が66%~128%、再現性も相対標準偏差が15%以内となり、良好であった(n=5)。 側鎖がカルボキシ基の分解物は、2つの画分から検出された。回収率はヘキサン/アセトン=9/1画分で6%~18%、ヘキサン/アセトン=4/1画分で21%~44%、両画分を合算すると39%~50%となった。 続いて、外因性物質の解毒代謝に寄与する芳香族炭化水素受容体結合活性について、2つのin vitro試験により評価した。YCM3酵母レポータージーンアッセイでは24物質中16物質が活性を示し、βナフトフラボンの0.005%~9%程度の活性であった。また、ヒトHepG2細胞を用いたEROD試験では2物質が活性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
河川からの検出事例があるパラベンと塩素化パラベンを含む12物質について、魚類中からの分析法を見出した。当初の対象物質には加えていなかった分解生成物についても検討したところ、サロゲート物質の選定を見直すことで回収率の向上が見込める程度の数値結果を得た。今後実施する生物試料の濃度分析には、分解生成物についても新たに分析対象に加える見通しが立った。
|
Strategy for Future Research Activity |
確立した分析法に基づき、水圏野生動物中に含まれるパラベンおよび塩素化パラベンの濃度計測を実施し、汚染実態および蓄積性に関する情報を得る。さらに水生生物への暴露実験を試み、生体への取り込み状況を把握するとともに、機器分析および標品合成から代謝物の分子構造に関連する知見を明らかにする予定である。
|
Research Products
(3 results)