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2015 Fiscal Year Research-status Report

燃料を同時生成する光バイオ燃料電池開発の基礎研究

Research Project

Project/Area Number 26410210
Research InstitutionNiihama National College of Technology

Principal Investigator

矢野 潤  新居浜工業高等専門学校, 数理科, 教授 (10200552)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords光ガルバニ電池 / NADHモデル化合物 / フラビン類
Outline of Annual Research Achievements

陽極に白金板電極,陰極に白金黒付き白金板電極を用いて,NADHのモデル化合物(1-ベンジル-1,4-ジヒドロニコチンアミド(BNAH))をフラビン類共存のもとで光照射を行なったところ,BNAHが酸化されることにより電池が形成され,電力を得ることに成功した。また光照射を停止すると光電流は低下した後に得られなくなったことから,光ガルバニ電池であることも分かった。
電解質溶液中のBNAHの濃度([BNAH])が低い場合,光電流は[BNAH]に依存したが,[BNAH]が2 mM(1 M=mol/dm3)以上であれば,一定の光電流が得られることを確認した。他方,電子メディエータとして働くフラビン類が存在しないとまったく電池が形成されないこと,フラビン濃度が0.5 mM以上で光電流が得られることも分った。
BNAHとRF濃度を最適条件にして,光電池の特性を調べた結果,開回路電圧が0.86 V,短絡電流が290 μA,最大出力は80 μWであることが分かった。なおこの出力は電極面積や照射光強度を増加することによって容易に増大させることができた。
BNAHがBNA+に酸化されることによって光ガルバニ電池が形成されていることを定量的に確認するために,光電流による通電量と電解質溶液中に生成したBNA+の濃度の関係を測定した。その結果,電解質溶液中に生成したBNA+の濃度と光電流による通電量は原点を通る比例関係を示し,電流効率が100%である理論関係と一致した。このことによって,光ガルバニ電池はBNAHがBNA+に酸化されることによるものと結論できた。
またより実用化に近い光ガルバニ電池の作製に必要である電池反応のメカニズムについて検討中であり,照射光が電池反応にどういった促進効果があるのか,どういった反応によって光ガルバニ電池が駆動しているのか,などについて調べている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

NADHとフラビン補酵素類の電気化学的挙動を調べた結果,当初に期待していたとおりに,NADHモデル化合物(BNAH)の電気化学的酸化に対してフラビン補酵素類が電子メディエータとして機能し,その反応を促進させる可能性が極めて大きいことが分かった。また,BNAH→BNA+変換反応に有望であると認められたフラビン類の中から,電子メディエータとしてその効果が大きいものとしてリボフラビン(RF)などを容易に選別することができた。
BNAHを含む電解質溶液にRFを加えた後に可視光線を電解質溶液に照射したときに流れる光電流の経時変化も容易に測定でき,光電流に与えるフラビン類の添加量,溶存酸素の影響,アノード材料の影響なども検討することができた。その結果,最大の電流が得られる最適条件を把握することもできた。
得られた最適条件において,光照射のオン・オフ状態で光電流が応答するかどうか調べたところ,光ガルバニ電池として動作することも確認できた。

Strategy for Future Research Activity

NADHのモデル化合物(BNAH)とフラビン類を用いた光ガルバニ電池を駆動させることに成功したので,今後は以下のような段階を踏んで研究を進めていきたい。
光ガルバニ電池の反応のメカニズムの解明:BNAHとRFを用いて駆動する光ガルバニ電池について,照射する光が電池反応の促進(触媒作用)にどう関与しているかどうかを検討する。実験方法は反応の照射光の波長依存性を検討し,どの物質の光励起が反応を引き起こしているかを突き止める。またRF濃度の時間依存を測定し,反応活性種が何であるかを調べる。さらに反応進行の温度依存性も調べる。そして得られた結果を総合的に考察して,反応のメカニズムを突き止める。反応のメカニズムが把握できれば,理論的な電池の高性能化が図れると期待される。
モデル化合物ではなく実際のNADHを用いて,光ガルバニ電池を構築することを試みる。実用化を目指して,水溶液系を電解質溶液として採用し,フラビン類も水によく溶解するフラビンモノヌクレオチド(FMN)を用いる。光ガルバニ電池として作動することが確認できれば,NADHやFMNの濃度を追跡し,色素を修飾させた光アノードとカソードを隔膜付きの電解セルに配置し,NADHやFMNの量などの最適条件を見出す。またNAD+を固定化酵素などを用いてNADHに還元し,燃料電池を併用した光バイオ燃料電池の開発を行なう。

Causes of Carryover

陽極として購入したカーボンフェルト電極の電解質溶液中における電気伝導度や活性が低く,ウィンクラー式白金メッシュ電極を用いて実験を行なおうとした。しかしながら,そのウィンクラー式白金メッシュ電極が151,632円と予算残額を上回ることが分かり,その支出を本交付金ではなく本校の教員研究費を用いて対応したために,結果的に101,439円の次年度使用額が生じてしまった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

すでに得られた研究成果を国際学会や国内学会で公表する予定であるが,その旅費や学術雑誌へ投稿する折の掲載料や別刷料,必要な電極や試薬類に充当していきたい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Flavin Mediated Electro-oxidation of 1,4-Dihydronicotinamides Using Photogalvanic Cell2015

    • Author(s)
      Jun Yano and Akira Kitani
    • Organizer
      The 228th Meeting of The Electrochemical Society
    • Place of Presentation
      アリゾナ州,フェニックス,アメリカ合衆国
    • Year and Date
      2015-10-11 – 2015-10-16
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 1-ベンジル-1,4-ジヒドロニコチンアミドとフラビン補酵素を用いた光ガルバニ電池2015

    • Author(s)
      矢野 潤,木谷 晧
    • Organizer
      第75回分析化学討論会
    • Place of Presentation
      山梨大学(山梨県甲府市)
    • Year and Date
      2015-05-23 – 2015-05-24

URL: 

Published: 2017-01-06  

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