2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26410218
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
前山 勝也 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (20311657)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 透明材料 / ポリケトン / 耐熱性 / Eaton試薬 / 直接重縮合 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸/酸塩化物と2,2'-ジメトキシビフェニルとの親電子芳香族アシル置換重合について、種々の酸性媒体を用いて条件最適化を行った。まず、Eaton試薬を用いる直接重縮合法について検討したところ、重合が期待通り進行し、対応する半芳香族ポリケトンを得ることができた。しかし一部不溶化が見られた。次に、酸性媒体をポリリン酸に変更し重合反応を試みたが、重合度は極めて低いものであった。これは、ポリリン酸の高粘性によりかき混ぜ効率が不十分であったためと考えられる。さらに、酸塩化物とルイス酸として塩化アルミニウムやトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を用いるFriedel-Crafts型重合を検討した。いずれも、Eaton試薬を用いた時よりも明らかに分子量の低下が見られた。これは、重合度が上昇するにつれて、ポリマーの反応溶媒への溶解性が低下するためである。以上の結果から、本反応系においては、最初に検討したEaton試薬を用いる重合が最適であることが分かった。なお、ポリケトンの一部不溶化については、2,2'-ジメトキシビフェニルの側鎖をメチル基からプロピル基に変更することで改善することができた。 第二に、上記重合最適化条件であるEaton試薬を用いる重合に用いる、新規アシル受容モノマーの合成ルート開拓を行った。その結果、芳香族ジブロミドと2当量の2-メトキシフェニルホウ酸との鈴木-宮浦カップリング反応により、芳香族化合物の両端に、2-アニシル基を導入した新規モノマーを得ることができた。このアシル受容モノマーを用いて1,4-シクロヘキサンジカルボン酸との直接重縮合を試みたところ、アニス基の5,5'-位で位置選択的に重合が進行し、対応する高分子量体の半芳香族ポリケトンを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画における、H26の研究の前半部分、H27の研究の前半部分について大きな進展が有り、耐熱性・溶解性・透明性の改善について一定の成果があったため。 研究概要で述べた前半部分は、平成26年度の研究内容の①の部分に相当する。①の部分に関する検討は完了し、結論を得ることができている。①の研究が予想以上に進行したことから、①の研究の次のステップである、平成27年度の研究内容の③に相当する、「新規アシル受容モノマー」開拓を開始した(研究概要の後半部分)。③に相当する研究についてはその合成戦略が正しいことを実証することができ、次年度(平成27年度)さらに、研究を深化させる予定である。 なお、②に相当する研究については、③の研究の進展をみて、次年度(平成27年度)中盤より展開予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度検討した、重合条件の条件最適化 および、新しい概念に基づく「新規アシル受容モノマー」開発とその重合への展開 における知見を踏まえ、引き続き、「新規アシル受容モノマー」開発とその重合への展開について、新規分子設計に基づくモノマー開発を行う。得られたポリケトンについて、耐熱性・溶解性・透明性に関する評価を行うことはもちろん、光学材料への展開を思考し、屈折率や複屈折率などの諸物性の評価もさらに行う予定である。 この研究に目処が立った段階で、さらに新しい重合反応系にチャレンジすることとし、当初本年度後半に予定していた②(付加脱離型)の研究を行う。
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