2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26410220
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸木田 雅利 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30301170)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スメクチック液晶 / 主鎖型液晶性高分子 / ラメラ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビフェノールとドデカン二酸からなる主鎖型液晶性ポリエステルPB-10が40 nm間隔の積層ラメラ構造を形成し,ラメラ法線方向に1.2 W m^-1 K^-1の高熱伝導率を示すことを見出した.本研究はPB-10の高熱伝導率発現機構の解明を目的に,主鎖型液晶性高分子のラメラ構造,μmスケールの液晶ドメインサイズ,液晶構造と熱伝導率との相関を調査する. 平成26年度は,(1)屈曲鎖炭素数の異なるPB-8とPB-12のランダム共重合体が,高分子鎖長とほぼ等しい間隔のラメラ構造を形成することを見出し,その発現要因を解明した.分子鎖に沿って異なるユニット長がランダムにある結果,液晶状態でランダム共重合体は,スメクチック層秩序が低下する一方,隣接分子鎖はヘキサゴナルにパッキングしており,分子軸方向に高い運動性を有する状態にあり,ポリエチレンが高圧結晶化で伸びきり鎖結晶を形成するのと同じ要因で伸びきり鎖ラメラ構造を形成すると結論した.(2)熱処理条件を変えることで,異なる間隔のラメラ構造をもつPB-10ポリエステルを調製し,その熱伝導率を測定し,ラメラ厚と熱伝導率との相関を調査した.間隔が0~60 nmの範囲にあるラメラ構造では,ラメラ間隔と熱伝導率の間に相関は見られなかった.(3)ビフェニルジカルボン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなるBB-5(3-Me)の大振幅振動ずりでの配向挙動を調査した.ひずみ80%で周波数を増加させると,層法線はニュートラル方向で一定にある一方,c-ダイレクター方位が,速度勾配方向,速度方向,そして再び速度勾配方向に向く配向転移が生じることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱伝導率の評価について多少の遅れがあるが,伸びきり鎖ラメラ構造の発見もあり,今後十二分に研究調査は進捗すると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
配向スメクチック液晶試料について熱伝導測定を行うとともに,伸びきり鎖ラメラ液晶について相転移挙動の検討を行う.
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Causes of Carryover |
試薬の購入を延期したため.国際会議の参加を取りやめたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬の購入費に充てる.国際会議PACOFICHEM2015参加旅費に充てたい.
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