2014 Fiscal Year Research-status Report
高分子界面を利用した多成分ナノ多孔体の創製と分離機能
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26410230
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐光 貞樹 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主任研究員 (80432350)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 相分離 / メソ多孔体 / 分離機能材料 / 有機・無機ハイブリッド / 高分子界面 / 表面・界面 / 高分子構造・物性 / 高分子複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の全体構想は、高分子多孔体における組成制御技術を確立することである。その方法として、独自に開発した『急速凍結ナノ結晶化相分離法』を基盤技術として、高分子複合組成系に展開した研究を行なう予定である。初年度は、高分子溶液にナノ粒子を添加した高分子・フィラー複合系に注力し、無機/有機ハイブリッド型高分子メソ多孔体の創製を試みた。まず、加熱撹拌により調製した高濃度の高分子溶液にナノ粒子を直接添加し撹拌により分散することを検討した。撹拌分散法に関しては、高粘度溶液に適した高速撹拌分散装置による強力なせん断力を用いて均質な溶液調製に取り組んだ。続いて、この溶液に対して急速凍結ナノ結晶化相分離法を用い、ナノ多孔体の作製を行なった。得られたナノ多孔体の物性解析として、走査型電子顕微鏡による形態観察および窒素ガス吸着法による比表面積/細孔分布評価を実施した。電子顕微鏡観察では、ナノ粒子を添加しない場合と同様に、太さ10-20nmのナノファイバーが分岐・結合を繰り返し、3次元に広がった連続的なネットワーク構造を形成していることが観察できた。緻密に分岐したネットワーク構造により、ナノファイバーの間に大きさが10-50nmのメソ細孔が高密度に形成されていた。溶液状態で分散性の良好な高分子・ナノ粒子の組合せでは、添加したナノ粒子は良好に分散し、ナノ粒子がメソ細孔に保持され緻密なナノファイバーのネットワーク構造にしっかりと取り込まれていた。一方、ナノ粒子の種類やサイズによっては分散性が低く、多孔体試料の一部に粒子が凝集した不均一構造になっていた。窒素ガス吸着測定では、200m2/gの大きな比表面積と、0.4-0.6cm3/gの大きなメソ細孔容量が得られた。この結果から、適切な種類のナノ粒子を添加した高分子溶液を使用することで、ナノ粒子と高分子のハイブリッドからなるメソ多孔体を形成できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究実施計画は、(1)適切な良溶媒と撹拌分散法の選定を進め、フィラーを均一に溶解・分散した高分子複合組成溶液の調製条件を整理すること、(2)この溶液に対して急速凍結ナノ結晶化相分離法を用い、ナノ多孔体の作製を行なうこと、(3)ナノ多孔体の物性解析には走査型電子顕微鏡・窒素ガス吸着法・示差走査熱量計を用い、ナノ細孔の細孔径評価と空間的な組成分布評価を実施することの3点であった。高分子・フィラー混合溶液の調製、混合溶液を用いたナノ多孔体の作製、ナノ多孔体の電子顕微鏡観察および窒素ガス吸着法による比表面積・細孔分布評価を行なった。時間の制約により、示差走査熱量計によるガラス転移温度の評価は未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は概ね順調に進行しており、今年度実施できなかった示差走査熱量計での評価を進めると同時に、他の高分子複合系への展開を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
成果発表のために国際学会に参加したが、そのときの旅費精算時に昼食代の差額調整が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
金額はそれほど大きくないため、次年度の物品に繰込み、消耗品代として利用する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] ナノ粒子を含む高分子メソ多孔体の作製2014
Author(s)
佐光貞樹, KRISHNANMohan Raj, 藤井義久, 一ノ瀬泉
Organizer
第63回高分子討論会
Place of Presentation
長崎大学文教キャンパス ,長崎市,日本(Japan)
Year and Date
2014-09-24 – 2014-09-26
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