2015 Fiscal Year Research-status Report
DNAブラシ界面間における特異な相互作用の発現に対する水和状態の寄与評価
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26410232
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金山 直樹 国立研究開発法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 研究員 (80377811)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNA / 界面 / 水和 / イオン / 末端塩基対合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、従来、DNAナノ粒子の表層塩基対合に依存した特異な分散挙動が確認されてきたのが高塩濃度の水溶液であることに鑑みて、昨年度から採用しているステム・ループ配列のDNA(SL-DNA)に関して、高濃度の塩がその高次構造に及ぼす影響をCDスペストル測定より評価した。SL-DNA水溶液は、245 nm付近に負のコットン効果、275 nm付近に正のコットン効果を示す典型的なB型DNA二重らせんのCDスペクトル形状を与えたが、DNAナノ粒子の分散挙動変化が惹起される0.5 Mから1.0 M のNaCl濃度範囲では、NaCl濃度の上昇に伴って275 nm付近の正のコットン効果だけが選択的に低下する傾向が確認された。過去の報告から、このCDスペクトル変化は、DNA鎖の脱水和が進行して二重らせん構造がB型からC型へと変化する過程で観測される特徴的なものであることがわかった。即ち、DNAナノ粒子の表層塩基対合に依存した分散挙動変化が惹起される状況では、系中の高濃度の塩によってDNA鎖の部分的な脱水和が進行し、二重らせん構造に変化が生じていることが実験的に明らかとなった。しかしながら、ステム部位の末端が相補的な配列(G-C)の場合とミスマッチ(C-C)の場合を比較したところ、両者のCDスペストル変化には有意な差はみられず、本アプローチではステム部位末端の局所的な水和状態に関する情報を得ることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの検討で、従来、確認されてきたDNAナノ粒子の特異な分散挙動とDNA鎖の水和状態の関連性を実験的に明らかにできつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAブラシ表層の局所的な水和状態を評価する手段として、周波数変調AFM(FM-AFM)による水和構造の可視化を検討する。
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Causes of Carryover |
研究を行う過程で、研究計画立案時に導入を想定していた方式の装置では、問題を解決できないことが明らかとなり、当該装置を購入するために計上していた金額が未使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
課題を遂行する過程で生じた問題を解決するための分析法の目処は立っており、その測定を実施するための費用として使用する。
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