2016 Fiscal Year Research-status Report
DNAブラシ界面間における特異な相互作用の発現に対する水和状態の寄与評価
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26410232
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金山 直樹 信州大学, 総合工学系研究科(長野), 准教授(特定雇用) (80377811)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNA / 界面間力 / AFM / 水和 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロイドプローブ原子間力顕微鏡(AFM)法によるフォースカーブ測定により、2つの向かい合ったDNA二重鎖ブラシの間に発生する相互作用を界面間力として計測した。末端塩基対合の影響を評価するため、本課題で手法を確立したステム・ループ型DNAを用いて、相補的(G-C:塩基対合あり)あるいは非相補的(C-C:塩基対合なし)な表層構造をもつ完全二重鎖構造のDNAブラシを測定対象とした。金蒸着処理を施したコロイドプローブ、およびシリコン基板表面に同様のDNAブラシを形成させ、AFMにより200 nm/secの速度でDNAブラシ同士を水溶液中で接近させた際に観測される表面力と距離の関係(f-d曲線)を、溶液中のNaCl濃度を変えながら測定した。その結果、相補的な(G-C)表層のDNAブラシ同士を接近させた場合、NaCl濃度が100 mM以下では斥力が支配的であったが、250 mM 以上では約 8 nm 以下の距離において引力が支配的となり、NaCl 濃度が 500 mM 以上では 100 pN以上の明瞭な引力ピークが f-d 曲線上に確認された。一方,非相補的な(C-C)表層のDNAブラシ同士を接近させた場合は、NaCl濃度に関わらず斥力が支配的であり、相補的な表層のDNAブラシの場合とは全く異なるf-d曲線のNaCl濃度依存性を示した。以上の結果は、従来、我々が報告してきたDNAブラシの末端塩基対合に連動したDNAナノ粒子の特異な分散挙動が高塩濃度下で惹起されるDNAブラシ間相互作用に起因すること、さらに、この相互作用は表層(末端)特異的に働くものであることを強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAナノ粒子において見られる、表層塩基対合に依存した特異な分散挙動が、DNAナノ粒子表層における末端構造依存的なDNAブラシ間相互作用に起因するものであることを実験的に証明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題におけるこれまでの検討の結果、DNAブラシ間における特異な相互作用の発現には、DNAブラシ表層における局所的な水和構造の違いが関与していることが強く示唆された。これまでの結果を受けて最終年度では、DNAブラシ表層の局所的な水和構造を評価するため、水和状態が大きく異なることが期待される幾つかの非天然型の核酸塩基に着目し、それらの影響を評価する。
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Causes of Carryover |
本研究課題の研究代表者が平成28年4月より異動となり、研究室を新たに設立することとなった。異動先での新規業務と並行して、研究環境を一から整備する必要があったため、当初想定していた以上に時間がかかった。この間、本研究課題に関わる実験を実施できなかったため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画研究を実施するための機器の購入費、試薬の購入費として使用する。
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Research Products
(10 results)