2015 Fiscal Year Research-status Report
酸化チタン光触媒の表面特性の新展開と高機能油水分離フィルターの開発
Project/Area Number |
26410241
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西本 俊介 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (90435826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 通博 岡山大学, その他の研究科, 名誉教授 (30143960) [Withdrawn]
亀島 欣一 岡山大学, その他の研究科, 教授 (50251616)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸化チタン / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
油と水の効率の良い分離技術の開発は、環境保全および水処理の省エネルギー化において、極めて重要である。そこで、本研究では、酸化チタン光触媒表面の水中における撥油性を活用した油水分離技術の革新を目指した新規フィルターの作製および各種酸化チタン表面処理が油の濡れ性に与える影響の調査を行った。新規フィルターの作製に関しては、前年度に引き続き、ステンレスメッシュにシリカ・チタニア複合膜をコーティングしたものにより、油水分離フィルター特性の基礎評価を行った。その結果、本研究で作製されたシリカ・チタニア複合膜がコーティングされたフィルターにより、脂肪酸系の油と水との分離できることが分かった。また、各種酸化チタン表面処理が油の濡れ性に与える影響の調査に関しても、前年度に引き続き、紫外線照射と超音波照射とによる外部刺激が油の濡れ性に与える変化に関して詳細に検討した。その結果、比較的平滑な酸化チタン光触媒表面において、水中における油の濡れ性を紫外線照射と超音波照射とによる外部刺激により制御できることが分かった。一方、粗い酸化チタン表面では、外部刺激による水中における油の濡れ性の制御は困難であることが判明した。さらに、本年度は、上記研究に加えて、酸化チタン表面へのシランカップリング剤を用いた表面処理による油の濡れ性に与える影響調査に関する研究にも着手した。その結果、酸化チタン表面にSiOH基を導入することで水中における撥油性を向上できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で作製されたシリカ・チタニア複合膜がコーティングされたフィルターにより、脂肪酸系の油と水との分離できることが分かった。また、比較的平滑な酸化チタン光触媒表面において、水中における油の濡れ性を紫外線照射と超音波照射とによる外部刺激により制御できることが分かった。一方、粗い酸化チタン表面では、外部刺激による水中における油の濡れ性の制御は困難であることが判明した。さらに、酸化チタン表面にSiOH基を導入することで水中における撥油性を向上できる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにシリカ・チタニア複合膜がコーティングされたフィルターの油水分離特性評価を行ってきたが、さらに作製が簡便で高性能なフィルターの開発に取り組む予定である。今年度の研究で酸化チタン表面にSiOH基を導入することが水中における撥油性を向上できる可能性が示唆されたため、この手法を活用したフィルター作製に関する研究を行い、分離フィルターの高性能化を図る。また、酸化チタン板試料においてもSiOH基の導入が水中における撥油性に与える影響を精査する。
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Causes of Carryover |
本年度は、消耗品(油水分離フィルター作製および評価に関する研究で使用するステンレスフィルターなど)を予定よりも消費しなかった。そのため、消耗品費が予定よりも少なくなり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、酸化チタン表面処理剤として各種シランカップリング剤を使用した実験を計画しており、それら実験に関する各種薬品および消耗品費(ガラス器具等)として使用する予定である。
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