2015 Fiscal Year Research-status Report
金属ナノ粒子内包多孔質ダイヤモンド球状粒子の作製と高安定性触媒への応用
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26410246
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
近藤 剛史 東京理科大学, 理工学部, 講師 (00385535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 多孔質材料 / 不均一触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
白金ナノ粒子内包多孔質ダイヤモンド球状粒子(PtNP@PDSP)の触媒活性について詳細な評価を行った。触媒分析装置を用いて一酸化炭素吸着量から求められる金属表面積を統一して白金担持炭素(Pt/C)との触媒活性の比較を行った。シクロヘキサン脱水素反応をモデル反応として比較した結果、Pt/CよりもPtNP@PDSPのほうが高活性であることがわかった。また、反応後に金属表面積を評価した結果、PtNP@PDSPでは大きな変化はなかったが、Pt/Cでは、金属表面積の減少が見られた。Pt/C中のPtNPは、カーボン表面に吸着しているのに対し、PtNP@PDSP中のPtNPはナノダイヤモンド(ND)粒子による3次元的パッキングにより固定化されているため、脱離や移動・凝集による金属表面減少が抑制されたため、高活性を維持できたものと考えられる。 また、PtNP@PDSPと同様のプロセスでパラジウムナノ粒子内包PDSP(PdNP@PDSP)を作製し、鈴木カップリング反応に対する触媒活性をPdNP担持活性炭(Pd/C)と比較した。フェニルボロン酸とp-ブロモ安息香酸との反応によるp-フェニル安息香酸生成反応では、両者の触媒間で大きな活性の違いは認められなかった。一方、p-ブロモアニソールとp-アセチルフェニルボロン酸との反応による4-メトキシ-4’-アセチルビフェニル生成反応では、Pd/Cと比較して、PdNP@PDSPにおいて顕著な高活性が認められた。したがって、細孔構造や細孔壁の影響により、PdNP@PDSPにおいて高活性となりうる反応気質が存在するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度では、PtNP@PDSPにおけるCO酸化反応に対する触媒活性評価を開始する予定であった。しかし、昨年度に行ったシクロヘキサン脱水素反応におけるPt/Cとの活性評価について、金属表面積の評価や前処理の検討など、適正に比較検討するための基礎事項の再確認を優先したため、CO酸化反応への着手には至らなかった。一方、PdNP@PDSPの鈴木カップリング反応触媒への応用については、基礎的な評価に加えて、Pd/Cとの比較において基質特異性が示唆されるなど、予定よりも進捗が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
PtNP@PDSP触媒に関しては、シクロヘキサン脱水素反応を用いた一連の評価を完了し、CO酸化反応における活性評価に着手し、Pt/C触媒との比較を行う。PdNP@PDSP触媒に関しては、さらにさまざまな基質を用いて鈴木カップリング反応の触媒活性を検討し、Pd/C触媒と比較した優位性についてその本質を明らかにする。
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Causes of Carryover |
装置部品の更新作業のため、当初の予定よりもその他の費目が多くなったため、それ以外の費目について別予算との調整を行った結果、所要額と実支出額に差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、翌年度分のうち物品費に加えて使用する予定である。
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