2016 Fiscal Year Research-status Report
金属ナノ粒子内包多孔質ダイヤモンド球状粒子の作製と高安定性触媒への応用
Project/Area Number |
26410246
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
近藤 剛史 東京理科大学, 理工学部工業化学科, 講師 (00385535)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ダイヤモンド / 多孔質材料 / 不均一触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
白金ナノ粒子内包多孔質ダイヤモンド球状粒子(PtNP@PDSP)触媒の活性および耐久性の向上を目的として、原料となるナノダイヤモンド(ND)の粒子径の検討を行った。粒子径5 nmのNDを用いて作製したPtNP@PDSP-5の平均細孔径は11-15 nmであったのに対し、20および30 nmのNDを用いて作製したPtNP@PDSP-20および-30では、それぞれ平均細孔径は4.5および7.7 nmと比較的小さくなることが確認された。これにより、PDSPに内包されたPtNPの移動や凝集、脱離が抑制できると期待される。シクロヘキサン脱水素反応をモデル反応として触媒活性を比較したところ、PtNP@PDSP-5, -20, -30は、いずれもPt担持カーボン(Pt/C)触媒よりも活性が高く、繰り返し安定性にも優れることがわかった。PtNP@PDSP-20, -30は、触媒調製プロセス中のPt粒子径の増大を抑えることができたため、触媒に含まれるPt重量当たりの触媒活性は、PtNP@PDSP-5やPt/C触媒よりも高くなっており、希少元素の有効利用に適した担体であることがわかった。 また、同様のプロセスで作製したパラジウムナノ粒子内包PDSP(PdNP@PDSP)の鈴木カップリング反応触媒への応用について検討を行った。フェニルボロン酸とp-ブロモ安息香酸との反応およびp-ブロモアニソールとp-アセチルフェニルボロン酸との反応について、さまざまな塩基や溶媒を組み合わせて活性を調べた結果、いずれの場合もPd担持活性炭に比べて、PdNP@PDSPのほうが高活性であることが確かめられた。特に極性の高い溶媒を用いた場合では、顕著な差が見られる傾向があることから、表面官能基による効果が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度では、PtNP@PDSPについてCOの酸化やNOxの還元といった気相反応に対する触媒活性の検討を予定していた。しかし、PtNP@PDSPの構造制御と安定性との関係について課題が見つかったため、その検討を中心に実施した。その結果、原料となるNDの粒子径について最適条件を見出すなど、新たな知見が得られた。一方、PdNP@PDSP触媒に関しては、予定通り様々な基質や条件の下での検討を行うことができ、広範な条件で高活性を示すことが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
PtNP@PDSP触媒に関しては、CO酸化反応やNOx還元反応といった気相反応に対する活性を調べる。PdNP@PDSP触媒に関しては、触媒活性に対する担体(ダイヤモンド)の表面官能基の効果について検討する。
|
Causes of Carryover |
実験装置の修理による不測の支出を生じるなど、調整を行った結果、所要額と実支出額に差額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、翌年度分のうち物品費に加えて使用する予定である。
|