2014 Fiscal Year Research-status Report
CFRPの劣化が超高速飛翔体衝突時のイジェクタおよび熱サイクル強度に与える影響
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26420012
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 政弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60282828)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 材料力学 / 衝撃強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
三年間の科研費(c)の1年目である平成26年度には,二段式軽ガスガンを用いて加速させたアルミニウム合金球を炭素繊維複合材料(CFRP)に垂直衝突させ,超高速衝突時のイジェクタを詳しく調べた.交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,ターゲットに2種類のCFRP板(150 mm×100 mm)を用いて,ISO規格のアルミニウム合金球(A2017-T4)を用いて実験を行った.ターゲット前方および後方100 mmの位置に検証板を設置し,衝突痕を詳しく調べた.検証板もISO規格に従い,150 × 150 mmの銅板で,中心に飛翔体が通過する穴(直径30 mm)を設けたものを使用した.飛翔体が通過する穴などには工夫が必要であったが,ほぼ「研究実施計画」どおりに実験を実施することができた. 宇宙環境を模擬した劣化試験では,ガンマ線照射施設(名古屋大学コバルト60γ線照射室)で, 合計 2.5 kGyまで照射し,予備実験を行った.衝突速度は 3.5 km/sの結果では,破砕物のサイズは小さくなり,個数もわずかに減少した.一般にガンマ線照射の影響の研究では,1 MGy~100 MGyで,静的なヤング率や伸びが変化するという報告があり,一方で,衛星の使用期間内の合計では,100 kGy程度の照射が見込まれるが,それよりもかなり少ない照射量でもイジェクタサイズに影響をあたえることがわかった.これは変形速度が大きい領域では,材料特性に与える影響が大きいものと考えられる.一方で,この程度の照射量では,破壊様式に影響を与えるほどではなく,ほぼ同じ破壊領域であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙環境を模擬した劣化試験には,予想以上に準備に時間がかかってしまい,劣化試験の遂行が少し遅れているが,準備や必要な手順などが良くわかったので,平成27年度は計画通り遂行することができる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,超高速飛翔体衝突を受けた劣化CFRP板に,サイクル試験を行い,強度低下を明らかにし,余寿命評価の指針および信頼性向上のための基礎データを得る.劣化していないCFRP板の結果と比較する.これまでの結果を元に,CFRPを1種類に絞りこみ,2種の劣化条件を選ぶ.サイクル試験中は,デジタルカメラおよび赤外線カメラを用いて観察する.サイクルによる劣化曲線を作成し,余寿命予測について考察する. その次には,キリ穴(ドリル穴)を空けた劣化CFRP板に熱サイクル試験を行い,強度低下を調べる.超高速飛翔体衝突を受けた劣化CFRP板に,熱サイクル試験を行った結果と比較し,超高速衝突による貫通穴と等価なキリ穴径を調べ,損傷許容設計のための指針を得る.熱サイクルによる劣化曲線を作成し,これまでの結果と比較することにより,設計指針の提案を行う.異なる試験片サイズの実験の実施およびこれまでの実験の再現性を確認し,得られた結果の妥当性および普遍性について考察する.
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Research Products
(4 results)