2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒト剖検例を用いた粥状動脈硬化病変部の不均質性が損傷・破裂に及ぼす影響の解明
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26420018
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 宏 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (00220400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 則行 福岡大学, 医学部, 教授 (20134273)
森田 康之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380534)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 石灰化 / 粥状動脈硬化 / プラーク破裂 / X線CT / 画像相関法 / ひずみ |
Outline of Annual Research Achievements |
剖検例から採取したヒト胸部大動脈に対して昨年度に実施した実験6例について,粥状動脈硬化の生じたプラークの内皮面の変形に石灰化が及ぼす影響を分析して定量的に評価した.長方形状の対象領域へのひずみ5%の伸展に対して,内皮面でのひずみ最小値は,プラークのない場合に2.3%(一例),プラークがあって石灰化のなかった場合に0.4%から0.8%(二例),プラークがあって石灰化が脂質コアのみに見られた場合に0.6%(一例),プラークがあって石灰化が線維性被膜に見られた場合に0.0%(二例)であった.ひずみ零と評価された内皮表面の領域は石灰化して硬くなったか,内皮下に存在する硬い石灰化領域の影響が現れたものと考えられ,脂質コアのみで石灰化が見られた場合には,その影響が内皮面にある程度及ぶと考えられる.また,ソフトウェアを用いてCT画像から3次元の石灰化領域を抽出した. 薄膜状試験片の伸展試験については,厚さ数十ミクロンの薄膜状試験片をクリオスタットで用意した後,生理食塩水で満たした水槽に入れ,鉛直方向に伸展した.また,染色画像を光学顕微鏡により観察した.伸展試験では非線形性の弱い荷重-変位関係が得られたものの,伸展に伴う荷重の出力が不安定だった. 線維性被膜が破裂した頸動脈に内膜剥離術を施した臨床例について,超音波画像,組織標本,染色標本の光学顕微鏡像を利用して有限要素解析を実施し,未破裂のプラークの場合と比較して,プラークの力学的状態が線維性被膜の形態に及ぼす影響を調べた.解析によれば,未破裂プラークの内皮面は外側に凸の形状で,脂質コア内の圧力は血圧に比べて著しく小さい.一方,破裂してプラーク内出血が顕著な場合,脂質コア内は血圧と同程度の圧力となり,線維性被膜が内腔側に押されて移動した.このように破裂したプラークの場合,線維性被膜の膜としての変形が狭窄の程度にも関わるものと推察される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
薄膜状試験片の伸展試験について,荷重の出力が不安定なため,測定装置の更なる改良が必要である.バルーンカテーテルを用いた研究については,予備実験によると解析に適した精度を得る実験の工夫が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
バルーンカテーテルを用いた研究については,他の二つの課題(線維性被膜の研究と石灰化の研究)を解決してから取り組むことにする.
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Causes of Carryover |
薄膜状の線維性被膜の伸展試験に更なる改良が必要なことがわかり,組織標本の染色例が少なくなっているなどしたためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
薄膜状の線維性被膜の伸展試験装置の改良や組織標本の染色費用などに用いる計画である.
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Research Products
(5 results)