2014 Fiscal Year Research-status Report
PBO繊維の引張および疲労強度に及ぼすキンクバンドの影響
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26420023
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
堀川 教世 富山県立大学, 工学部, 准教授 (10363871)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 損傷強度 / 環境強度 / 強度分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は機械的特性の基本特性として、引張強度に焦点を絞り、次の3つのテーマについて研究を行った。 ①キンクバンドを生じさせたPBO繊維の引張強度の確率分布の推定 ②紫外線照射を受けたPBO繊維(キンクバンドを生じさせた)の引張強度特性 ③紫外線照射時におけるキンクバンドを通り道とする自動酸化メカニズムの解明 研究の結果、①では繊維表面の圧縮ひずみとキンクバンドの発生数との関係を定量的に明らかにするとともに、キンクバンドの個数と引張強度との関係を統計的手法により整理し、引張強度の確率分布を明らかにした。また、キンクバンドが引張強度に対して永久損傷として作用することを示した。さらに、引張強度のワイブル解析を行い、キンクバンドの数が増加(繊維表面の圧縮ひずみを増加させた場合)してもキンクバンド部分の強度は変化しないことを明らかにした。②ではキンクバンドを生じさせた繊維に紫外線照射を行い、単繊維引張試験により引張強度の確率分布を明らかにした。さらに、紫外線照射による引張強度の低下とキンクバンドによる引張強度の低下は単純な線形和ではないことを明らかにした。③では紫外線照射を行った繊維に対して、ミクロトームにより繊維をスライスし、繊維内部のキンクバンド部分の元素分析を行ったところ、酸素原子の数が他の部分に比べて多いことを突き止めた。この結果から、紫外線照射による自動酸化反応はキンクバンド部分で優先的に生じることを化学的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度で掲げた3つの研究テーマはおおむね達成できており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度の③の研究テーマについては、データ数が少ないため信頼性を上げるためにH27年度も継続して元素分析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)