2015 Fiscal Year Research-status Report
疲労最弱部に行う切削摩擦加工法でのナノ結晶粒層創生と局部残留応力制御
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26420035
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
薬師寺 輝敏 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90210228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 摩擦加工 / 微細結晶粒 / 疲労強度 / 残留応力 / 強歪加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにCNC旋盤を用いた表面強ひずみ加工である摩擦加工によって,S45C調質材及び焼鈍し材またTi-6Al-4V合金において,疲労強度が大幅に改善されることを確かめた.しかし,実際の機械部品を強化するには,疲労破壊の起点となる応力集中部を強化する摩擦加工技術を開発することが要求される.そこで本研究ではSCM435調質材を用い,V溝切欠き部分を摩擦加工で強化することを試みた.その結果,摩擦加工を施した材料の切欠き部の硬さは素材の約2.7倍である820Hvまで向上し,最表面から100μm付近まで摩擦加工の影響を受けている加工層が確認できた.更にX線回折による測定で,摩擦加工によってV溝底においても1500MPaを超える非常に大きな圧縮の残留応力が創生されていることが明らかとなった.これらの原因で,摩擦加工により,切欠き材の疲労限度が約68%向上し,平滑材よりもむしろ切欠き材のほうが摩擦加工の効果が大きくなった.このことから摩擦加工は応力集中部の疲労強度向上に有効であることを2015年9月に行われた日本機械学会九州支部長崎講演会において発表した.また,表面と内部の応力差が無い平滑試験片における引張圧縮疲労では摩擦加工の効果が大きく表れないことを確認し,同じく長崎講演会で公表した.しかし本研究のテーマである切各部を持つ試験片においては引張圧縮荷重においても応力分布を持つことから,摩擦加工による表面の強化は疲労強度に大きな効果を発揮することが期待され,28年度はこれについて検討を行う.切欠き部分の残留応力測定がある程度可能となったことから,残留応力をさらに高める加工方法についても検討を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・V溝底のX線による残留応力測定が可能になった. ・疲労試験中の残留応力の推移を調査した. ・引張圧縮疲労試験における平滑試験片における摩擦加工の効果を確認し,成果を公表した ・V溝試験片の引張圧縮疲労試験が可能となった. ・残留応力制御については今後行う.
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Strategy for Future Research Activity |
・X線残留応力の測定ノウハウを更に蓄積しする. ・新しい摩擦加工治具を考案し,曲げを加えながら摩擦加工が行えるようにする. ・曲げを加えながら摩擦加工した場合の残留応力生成について検討し,効率的に圧縮残留応力を付与できる技術を確立する.
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Causes of Carryover |
平成27年度に国際会議参加を予定していたが,国際テロ事件により参加を見合わせる結果となり,準備していた渡航費が次年度に持ち越される結果となった.また,国立高等専門学校機構の寄付金使途に関する規則が変更となり,使用時期が迫った寄付金を使って科研費使途計画にあった物品を先に購入したため,次年度使途の金額が増加する結果となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議の参加,論文投稿料,また,残留応力測定費用として使途する.
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