2015 Fiscal Year Research-status Report
金属系航空・宇宙材料加工用コーティング工具と凝着低減加工法の基礎的研究
Project/Area Number |
26420049
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
臼杵 年 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (10176670)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 切削工具 / コーティング / 超耐熱合金 / チタン合金 / TEM / 被膜損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.超耐熱合金切削時におけるコーティング膜損傷軽減に与えるコーティング成膜条件の検討 インコネル718切削時におけるコーティング膜の損傷についてAlCrSiN膜の採用により膜の高強度化とコーティング方法の変更による膜内欠陥の低減を図った。さらにTEMによる詳細観察を行うとコーティング表面から約1μm深さ辺りにせん断力による水平方向にクラックが発生し、これがコーティング損傷を引き起こすことが判明したので、この発生位置をせん断強度の高い母材中にする、コーティングの薄膜化を行い損傷低減の効果を得ることができた。また固溶強化型のインコネル625の切削に対して、開発したコーティング工具を適用して、工具形状の関係で境界部位の損傷は大きくなったが(工具形状の最適化で対応可能)、クレータ摩耗部位等のコーティングの損傷は非常に軽微であることを確認した。 2.チタン合金切削時におけるコーティング膜損傷に及ぼすコーティング成膜条件の影響 前年度の検討結果を踏まえて、チタン合金の断続切削時のTiN膜の損傷状態をTEM観察によりさらに観察した結果、コーティングは塑性変形せず、基材表面に平行方向にクラックが生じたことで破壊したことを観察できた。クラックは表層から 0.5 μm 程度の深さの位置に生じており、これらが連結することでコーティングを破壊させたと考えられた。またコーティングと 凝着物との界面の一部には、結晶の方位関係が確認された。Ti合金切削用工具のコーティング損傷幅の大きさは、コー ティング内の欠陥量が少ないほど小さくなる傾向を示した。つまり、損傷抑制には切削時にコーティング内に生じるせん断応力の集中を避けるために、コーティング内の欠陥量の低減が有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若干分析が遅れているが、問題なく進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
インコネル用に開発したコーティング工具の損傷状況について、インコネル718と同様の損傷状態なのかインコネル625切削工具のTEM観察を行い、Ni基超耐熱合金切削用のコーティング工具としての性能を確立する。 またチタン合金連続切削時の損傷について、被削材の凝着状況をその界面のTEM観察を中心に行う。
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Causes of Carryover |
TEM分析用試料作成が遅くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に合わせて分析を実施する。
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Research Products
(2 results)