2015 Fiscal Year Research-status Report
切削に匹敵する大切込みと目詰まり防止を特徴とする超硬研削用カップ型砥石の開発
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26420051
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 貴典 岡山大学, その他部局等, 教授 (20274011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一仁 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10223918)
塚本 眞也 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80163773) [Withdrawn]
大西 孝 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90630830)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 縦軸正面研削 / 研削抵抗 / 研削抵抗分布 / 寸法生成機構 / 切残し量 / 実研削量 / 超硬 |
Outline of Annual Research Achievements |
カップ型電着ダイヤモンド砥石を用いると,切削用フライス盤でも容易に硬質材料の正面研削を実施することが出来る。すなわち,切削加工では困難な,超硬材料に代表される鋼材よりも高度が高く,強度も強靱な難削材の加工が研削加工によって実現出来る。正面研削は,砥石直径よりも狭い幅の工作物を削り取る方法である。切削におけるフライス加工のように,単一の砥粒切れ刃が干渉する長さが工作物幅よりも長く,砥粒に作用する力学的・熱的負荷は非常に大きい。したがって,加工液を大量に供給しながら,微少な切込みを与えて低送り速度で工具を移動しながら加工を行うのが通常である。 平成27年度は,カップ型砥石が工作物に切り込んでいく前縁側での除去機構を実験的に詳細に検討した。平成26年度に確立した「研削抵抗分布測定法」により,砥石作用面上に発生する研削抵抗の大小関係を解析すると共に,得られた工作物断面形状から各種切残し量と実加工量の関係を観察した。 その結果,最外周部に1mmの丸味を持つ電着砥石を用いた場合,砥石軸方向の切込み量である設定砥石切込み量を組織的に変化させて研削すると,定常研削状態が発現して,研削抵抗分布を解析できることが確認できた。また,研削抵抗分布は砥石幅中央部でフラットに成型された砥石底面部の最外周から約0.6mmの位置で最大値を発生してピーク幅が狭いが,砥石の両側ではピーク値が減少して幅がブロードになる。 さらに,カップ型砥石の軸は主軸と比べてやや小径であるために砥石軸支持系剛性が低下するため,発生する研削背分力(砥石軸方向に発生)により主に砥石軸が上方に押し上げられて(工作物支持系剛性ははるかに大きいため,砥石軸剛性の影響が大きくなる)切残し量が発生する。本研究の場合,設定砥石切込み量の半分が各種の切残し量として発生して,実際の除去料は切込み量の半分しか得られないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用する高精度金属研磨機の主軸モーター・コイルの絶縁皮膜が劣化して漏電するようになった。また,砥石を工作物に過干渉させたために主軸軸受けを損傷して,主軸1回転中にミクロン・オーダーの振れが発生するようになった。これらの修理のため,メーカーでの納期がかかり,9ヶ月間にわたり作業を中断せざるを得なかった。これが遅れの主因である。それ以外についてはほぼ予定どおり進行している。 超硬の正面研削における研削抵抗分布の解析手法および寸法生成機構に関する実験的検討がある程度進んだので,その成果を日本機械学会2015年次大会(2015.9.13-16,北海道大学)にて発表した。これは,工作機械の熱変位に留意するため砥石軸高さの変化を随時監視しながら補正を行い,十分な回数のゼロ研削を行った後に,研削深さの基準としてスパークアウト部を設けつつ,ワンパス研削した工作物の断面形状を触針式表面検査機で測定し,これで得られた断面形状に,研削背分力から得られる研削系剛性に起因する切残し量を追記し,両者の差分でその他の切残し量を得ることができる。なお,上記主軸交換後,工具支持系剛性が若干変化したので,再度研削実験を行い,データをまとめて論文化する予定である。 このように,実験装置に不具合が生じて長期の修理期間が必要であったために,「やや遅れている」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている実験を回復することが第一である。工作物と干渉する砥石の領域を組織的に変化させて,工作物の寸法生成機構を実験的に解析し,研削抵抗分布の傾向と併せて砥石幅に対する研削性能の比較を,鋭意行っている。 つぎに,設定砥石切込み量を純次増大してワンパス研削を行う。切込み量がゼロからある程度の大きさまでは研削抵抗が一定になる定常研削状態が発現するが,ある値以上になると漸次研削抵抗が増加し続ける状態が発生すると予測している。この状態では,研削抵抗分布を解析する前提である,圧力の次元を持つ,砥石作用面局所における研削抵抗が一定という仮定が崩れ,経時的に増加していることになる。その原因として,砥石作用面の目詰まりが想定されるので,砥石作用面を数個のブロックに分割した砥石を用いてワンパス研削実験を行い,砥石作用円のSEMおよびEPMA分析により,その目詰まりが超硬切りくずの付着に由来することを明らかにする。 さらに,砥石作用面に切りくずの付着・堆積が進行しないよう,(1)砥石台金の砥石作用面相当箇所に研削液排出用の小さな溝を形成し,切りくずの洗浄効果を発現させると同時に,(2)粗粒ダイヤモンド(正規の切れ刃)と,切れ刃の間隔を拡大するためのスペーシング用微細砥粒を混合して砥石作用面を形成することで単位面積当たりの実干渉砥粒数を減少させることで目詰まりの発生を抑制させる。この新型砥石の性能を,研削抵抗分布および寸法生成過程の解析により明らかにする。そして,切削加工に匹敵する大切込み量を付与しても十分な研削性能を発揮することを確認する。
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Causes of Carryover |
使用する工作機械(高精度金属研磨機)の故障修理を目的として,平成27年度中に長期にわたり実験を遂行することが出来なかったので,工具費など消耗品の手配が次年度に繰り越されることになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に実施予定であった,砥石再外部が直角断面を有するビトリファイド結合材砥石を発注し,砥石最外周部のピン角で最大干渉深さを生じることの反映として,最大の研削抵抗分布が生じ,砥石内部に向かって漸減することを実験的に確認する。 残余は,新型砥石工具の台金形状および砥粒分布の評価用工具試作に使用する。
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Research Products
(1 results)