2015 Fiscal Year Research-status Report
形状創成放電加工用電極消耗予測システムの実験計画法援用による高精度化
Project/Area Number |
26420053
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
水垣 善夫 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (50174016)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 放電加工 / 電極消耗 / 実験計画法 / L18直交表 / 形状創成加工 / 棒状電極 / シミュレーション / 形状モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
形状創成放電加工用電極消耗予測システムの実験計画法援用による高精度化 【研究目的】棒状電極を用いた形状創成放電加工法は電極消耗予測の精度が低いために実用化への目処がたっていない。その原因として、加工条件だけでなく棒状電極半径や電極回転数など多くの因子が影響していることによる実験結果のばらつきの大きさが指摘されている。本研究では実験計画法のL18直交表を用いた実験により、電極消耗率に影響する因子とその水準の同定を行い、電極消耗予測の精度を上げることを研究目的としている。 【実験実施計画】平成27年度は前年度に引き続きL18直交表を適用する電気加工条件等の因子と各水準の検討・選定を行うとともに、加工実験を行い、電極消耗に影響を与える因子とその水準の同定を行う。 【研究実施概要】前年度の検討結果から更に検討を重ね、因子・水準共に変更して下記の因子および水準で実験を行った。(1)電極極性(正・逆), (2)無負荷電圧(90/120/165 V), (3)電流ピーク値(24/36/48 A), (4)放電時間(50/100/150 micro-s), (5)Duty Factor(40/60/80 %), (6)周速度(100/150/200 mm/s), (7)加工深さ(1.0/0.5/0.2 mm), (8)電極傾斜角(30/15/0 °)。これらをL18直交表に基づく組み合わせで実験を行い、実験結果を要因効果図で比較した結果、以下の知見が得られた。(1)電極消耗率に対する効果は放電時間が最も影響しており、最大82%の軽減が確認された。(2)加工速度については電極極性が最も影響し、逆極性は正極性と比較して最大83%向上した。(3)電極消耗率に関して実験範囲内では、正極性・電流ピーク値/24 A・放電時間/150 micro-s・Duty Factor/80 % が望ましい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画法のL18直交表に基づく加工条件の組み合わせで放電加工実験を実施し、電極消耗に影響の大きい因子ならびに水準の同定ができたことは研究計画通りであった。ただし平成27年度の第4四半期から始める予定であった電極消耗の幾何シミュレータの開発が遅れており、既開発の消耗予測アルゴリズムが新たに採用予定の形状モデルに適用可能かどうかの検討を踏まえつつ、電極消耗予測シミュレータの開発を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
電極消耗の精度を上げるためには加工電極表面上の放電点の発生分布を知ることが重要であるが、マクロ的視野に立つと放電点分布は除去される工作物の形状に依存しているため、加工の幾何シミュレーションで電極消耗を予見することが可能なはずである。そこで加工電極の部位毎の消耗率を実験により事前に検定し、加工の幾何シミュレーションにより加工に関与する電極部位毎の消耗を予測する。 以前に開発した電極消耗シミュレーションでは形状モデルにボクセルモデルを用いたため、電極消耗アルゴリズムの実装は容易であったが、メモリ容量の関係で空間量子化を十分細かく指定することはできなかった。そこで今回は市販のソリッドモデルを開発プラットフォームとすることにより消耗後の電極形状を多面体表示し、ボクセルモデルでの表現よりも実際の消耗電極形状に近い表現を目指す。 市販のソリッドモデルシステムにシミュレーション用アドインソフトを載せることで自動メッシュ機能などが利用でき、加工電極の消耗幾何シミュレーションを視覚的に表現しやすくなると考えている。
|
Causes of Carryover |
平成27年度に放電加工実験とシミュレータ開発を計画していたが、放電加工実験に多くの時間を割くこととなり、結果的にシミュレータ開発の時間が無くなりシミュレータ関連経費の執行を平成28年度に先送りしたため。放電加工実験では電極材料や治具等の消耗品経費が計画以上に発生したため、平成27年度経費をそれらに優先的に充当したことも影響している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
市販の形状モデルシステムであるSolid Worksは現有設備であるため、計画書に計上しているシミュレーション関係のアドインソフトを購入し、電極消耗の形状シミュレーション開発を急ぐ予定である。
|
Research Products
(1 results)