2015 Fiscal Year Research-status Report
電磁誘導加熱・樹脂流動制御射出成形金型によるフィラー充填樹脂成形品特性の改善
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26420056
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 泰彦 日本工業大学, 工学部, 教授 (00200303)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プラスチック / 射出成形 / 金型 / 電磁誘導加熱 / 可動コアピン / フィラー充填樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電磁誘導を用いてプラスチック射出成形金型を急速加熱できると同時に、可動コアピンの駆動により金型内において樹脂流動が制御できる電磁誘導加熱・冷却樹脂流動射出成形金型を開発する。そして、金型の加熱や流動制御が、ガラス繊維やメタリックフレークなどのフィラーの配向にいかに作用し、その結果、成形品の外観と強度にいかなる影響がもたらされるかについて明らかにすることを目的としている。 平成26年度は、電磁誘導加熱・冷却樹脂流動射出成形金型の設計・製作を行った。そして、平成27年度は、設計・製作した本金型を用いて、ガラス繊維強化ポリプロピレンにおける成形実験を実施した。その結果、成形中に可動コアピンとキャビティ入れ子との間でカジリが発生し、ピンが回転しなくなるという不具合が発生した。そこで、キャビティ入れ子に可動コアピンと同材質のスリーブをピンの外周に挿入すること、また、ランナ形状を変更することで、カジリの発生を解決した。樹脂流動制御機構が円滑に動作するようになったので、ガラス繊維強化ポリプロピレンを用いて、成形条件を変更しながら再度成形実験を実施した。その結果、誘導加熱を行うことにより、成形品表面へのガラス繊維の露出が抑えられ平滑な表面性状が得られること、樹脂流動制御を行うことにより、成形品の曲げ強度が、2点ゲートの成形品の場合の約2倍に向上し、その結果、1点ゲートの場合に近い値が得られることなど、本金型により、成形品の外観と強度の両方が同時に改善されることが明らかになった。さらに、X線CTを用いて、成形品内のガラス繊維配向状態の観察を行い、樹脂流動制御が配向状態に及ぼす影響や、配向状態と曲げ強度との相関関係を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、まず、平成26年度に設計・製作した金型の試運転を行った。成形中の可動コアピンとキャビティ入れ子との間にかじりが発生することがわかり、スリーブ等を用いてこの問題を解決した。完成した金型を用いて、ガラス繊維強化ポリプロピレンの成形実験を行い、本金型により、成形品の表面性状と曲げ強度が改善されることを明らかにすることができた。また、樹脂流動制御がガラス繊維配向状態に及ぼす影響や、配向状態と曲げ強度との相関関係を明らかにすることができた。さらに、得られた成果を、プラスチック成形加工学会と精密工学会において口頭発表するなど、当初に掲げた目標をおおむね達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、本金型を、長ガラス繊維強化ポリプロピレンや、炭素繊維強化ナイロン、メタリックフレーク充填ポリプロピレンの成形に適用して、誘導加熱と樹脂流動制御がこれらフィラー充填成形品の外観や強度にどのような影響を及ぼすかについて明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額はわずかに異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの研究を進めていく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度予算は、電磁誘導コイルの製作費と成形実験に用いる成形材料の購入費、学会発表のための旅費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)